第8話 旅立ちの時

 昨日は、私もミューも、LV上げ全然出来ず終わっちゃいました。


 火の海の消火で、ぐったりです。

 パイって、今朝は3人前ポンを平らげて、ケロリとしてます。

 別にデブって訳じゃなくて、ミューちゃんより背は低くてスリムなのに、女の子には少ないけど、いわゆる痩せの大食いって感じ。


 グラスドッグの宝箱、殆んど回収出来て無い、だって、広大な草原の何処で焼け死んだか分からないもの、探しに行く気力も無かったからね。

 凄く倒したのに、お金にならず、金欠です。


 と、言うことで、金を稼ぐならイドのダンジョン!


 やって来ました、イドのダンジョン。

 モクが現れた。

 タララタッタタ~~♪音楽が脳内で鳴り響くよう。


 先頭の私が、一刀両断です。

 モクの宝箱と、その奥にダンジョン宝箱、10Gとスレドの爪5個ゲット。


 デスアイが現れた。

 ミューの矢が飛んで行く。

 20Gの宝箱。

 この部屋の奥に丸薬10個の宝箱。


 私はLV22、今日のLV上げはミューが主です。

 ミューは、順調にモクとデスアイを、矢で射殺して行きます。

 私の仕事は、宝箱を開けアイテムの回収です。

 力がついたので、大きなリュックにドンドン入れて進みます。

 お金Gが結構重いの!!


 丸薬やスレドの爪は、パイのリュックに入れて行きます。

 だって、私は99個しか持てないもの。

 ミネルバロードの、ルールに縛られないパイに持ってもらわないと、ミューは矢を射るのに大荷物は邪魔になるし。


 魔法のMPと同じ、矢はいくら射っても矢筒は空にならない。

 大昔のファミコンソフト、ミネルバロードの不思議仕様です。

 モクもデスアイも、3匹ずつ現れだしますが、ミューの快進撃は続きます。


 ダンジョン最下層です。

 アッシュウルフが3匹現れた!

 ミューの矢が3本飛んで行き、それぞれアッシュウルフに刺さったが、倒れず向かって来ます。

 私は1匹を一刀両断、パイが1匹火だるまにし、ミューは殴り倒していました。


 3人の息ピッタリの攻撃でした。

 イドのダンジョンにしては、レアなアイテムが出ました!!ボアの種3個ずつ計9個ゲットだよ!!

 ボアの種は、マゴン討伐、最終でも役立つ、威力のある爆弾です。


 ミア LV22HP220

 ミューLV20HP200

 パイ LV19HP190MP230

「これなら楽勝!!イドもやっつけよう!!!」


 イドが現れた!

 私は、スレドの爪をひたすら投げた。

 ミューは矢を連射、パイは魔法を連発、呆気なくイドが消えた。

 宝箱には1000Gと、毒の矢が入っていました。


 一度ダンジョンの外に出て、また入ると宝箱とイドが復活します。

 ゲームでもこれを繰り返し、アイテムとGを増やした覚えがあります。



 ミューのレベルが上がったので、皆、行けぇ進めぇガンガン行こうぜ!!


 日が暮れるまで繰り返し続け、私はLV28にミューはLV27、パイもLV27になりました。

 イドの宝箱からは、炎の矢、氷の矢、毒のナイフ、麻痺毒のナイフ、眠りのナイフ、雷のロッド、炎のロッド、等のアイテムが入っていました。

 LV30まで上げたかったけど、贅沢言ってらんないです。

 傭兵の街に早く行かないと!!


 ミネルバロードの設定では、傭兵の街は、東に歩いて2日程の所にあるはずです。

 傭兵の街は、何でも買う事が出来る大きな街だったと思う。

 そこで一番安い、100Gの傭兵を5人買う予定よ。

 焦る理由は、獣耳ハーレムのファイちゃんや、オメガちゃんがそこに居る予感が、盛んにするからだよ。

 ミネルバロードと獣耳ハーレムが混ざってるって事は、ミュー、パイ含む7人が何処かに居るはず。




 昨日一日掛けて、旅立ちの挨拶をして回りました。

 サラさんやトムさんに、何も言わず出て行くのは、流石に不義理でしょう?

 始めは二人にお別れ言って、おしまいのつもりだったのに、噂を聞いた町の人達が押し掛けて来て大変でした。


「ミアって、皆に愛されていたんだね」

「私達って孤児院育ちだから、ちょっと羨ましいかも」

 ぼそっと、ミューとパイが呟いています。


 10年近く、ゼムさんと私はこの町に住み、皆さんのお世話になって来たみたい。

 餞別だって言って、暖かい言葉と、旅に必要な食料等全て皆さんが揃えて下さいました。

 商店街の皆さんは、ロバが引く、幌付きの荷馬車を用意して下さいました。

 サラさんは調理道具一式、トムさんは3人に暑さ寒さを防ぐ、旅人の保温マントを下さいました。



「皆さん、今までお世話になりました、有り難う·····御座いました」

 町の人、殆んど全員集まっているんじゃ無いかと思う程、大勢の見送りです。

 荷馬車の御者席に昇ろうとすると、サラさんに抱き締められました。


「いつ帰って来ても良いように、ミアちゃんの家は、お掃除して待ってるから」

「ミアちゃん·····本懐を遂げたら·····必ず·····帰っておいで·····ダメとか·····嫌になったら··········始まりの町の····ミアに··········いつでも·····帰っておいで」


 抱き締められた私の頭に、暖かい物がポツポツ落ちて来る。


「サラ·····さん、ヒック、そう言うの·····う、ヒック、うえーーーん」

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