第4話 ミネルバロードなのに、獣人?

 最近夢を見る事無かったので、油断してました。


 講義受けてる最中です、寝てないよ私··········たぶん

 なのに、いつものミネルバロードの私の部屋で目覚めました。


 ··········装備一式身に付け、トムさんの店に向かいました。

「トムさん、スレドの爪って在ります?」

「後免!今切らしてる、けどダンジョンの宝箱から回収出来るよ」

「ダンジョン奥のボス、イドとは絶対戦わないように!」

(イドか、LV30位上げて行かないと舜殺されたっけ)

「わかった、行ってみるね」

「ちょっと待って!」「ミアちゃん装備、此に変えて!」


 トムさんが用意したのは、騎士剣と紋章の付いた綺麗な短剣、それに腕当てでした。

「ゼムさんから預かってた「トム君が、ミアの実力此で大丈夫と感じたら渡してくれ」って」

 私は、無言で受け取りました。

「その騎士剣はゼムさんの剣だよ·····」

「短剣は、ミネルバ王が王女に渡した物·····」

「トムさんは、私の事お父さんから聞いたの?」


「··········いや!僕は·····何も知らない··········」

(マゴンの間者が何処に居るか分からないから·····)

 かすかに聴こえる呟きでした。

「有り難う!トムさん」




 南門を出ます。鳥や小動物しか居ない、モンスターの出ない森の中の街道を進みます。

 橋を渡り、更に進みます。

 此処を、右に曲がるとイドのダンジョンですが、真っ直ぐ2時間行くと、海に出るはず。

 海見たいもん!!


 ひたすら歩き続け、峠を越えると眼下に海原が広がりました。

 幻匂?磯の香りがしてきます。

 駆け降りて、あっと言う間に漁村に着きました。

 海岸には、小さなカヌー(丸太をくり貫き、片側に安定翼のフロート付き)が引き上げられ並んで居ます。

 磯の香りが漂い、潮風が強く吹いています。


 砂浜の人だかり、何事かと近付いてみました。

「なんだ?この化け物!」

「誰か村長呼んでこい!!」

 覗いて見ると、びしょ濡れの女の子?が、うつ伏せに倒れて居ます。

 海岸に打ち上げられた、水死体?


 眺めるだけで、何もしない人達を掻き分け、女の子を仰向けにし、脈と呼吸を確認しました。

「この娘生きてるよ!」

「なんだ?おめぇ」「どっから涌いて出た?」

 ぞんざいな物言いに、かなりムッときました。

「この娘の蘇生が先!!少し黙って!」

 少し高圧的になります。


 娘の顔は青白く唇は紫色、頭髪がベッタリ張り付いていて、そっと髪をかき上げました。

(丸薬で何とか成るかな?)

 丸薬を少女の口に押し込み、意識を向けます。

 すると吹き出しが、獣人猫族ミューLV5 HP5 (50)

 少女の身体をさすってあげると、コクリと丸薬を、飲み込んでくれたようです。


 見る間にHPが50に回復!

「けほっ」海水を吐き出し、うっすら目を開けました。

 私が抱いていた少女の頭、薄茶色の耳がピクリと動き目を見開きます綺麗な青い目。

「大丈夫よ」

 優しく頭をなぜながら話かけます、耳がピクピクなぜにくい··········

(あれ?獣耳??)今更ながら少女の頭の猫耳に気付きました。

(ミネルバロードに獣人は出ないよ、何で居るのこの娘?)


 少女も人が珍しいのか、私の顔を青い瞳が凝視してる。

 私は、少女を優しくなぜ続けます。


 村長がやって来ました。

 面倒事に嫌そうな顔をして、私に言います。

「女、お前様は何者じゃ?」

(少し遜大に答えるか!)

「私は、スクルド王国、始まりの町に住む戦士ミア」

「村長!この少女私が預かる!異存は有るか?」

「そんな化け物この村には置けん!引き取って貰えば助かりますじゃ!!」


「村長尋ねるが、獣人を見た事有るか?」

「初めて見ますじゃ、恐ろしい!!」

「そうか、此で酒でも飲んで忘れてくれ」

 ズッシリ重い1000G入りの袋を村長に渡し、少女を抱き抱えるようにして、その場を離れます。

(スレドの爪買うお金....無くなちゃった)

「有り難う御座います!!」

 現金なもので、袋を推し抱くようにして、皆が頭を下げていました。



 峠を登りきった所でやっと振り返る事が出来ました。

(ふー緊張した!声震えずに話が出来て良かった!)

 それまで黙ってついて来たミューちゃんに、話し掛ける余裕が持てました。

「えーと、ミューちゃんで良かった?」

「うん、お姉さんは?」

「私は、ミア」

「私18才だけど、ミューちゃんは?」

「15才」

「ミューちゃんは、何処から來たの?何であそこに倒れてたの?」


「·····わからない··········なんにも思い出せないよ」

「無理に思い出す事ないよ」

「私の家に来て、落ち着いたら何か思い出すかも」

 休憩しながら、ゆっくり歩いたため、町に着いたのは夜になってからでした。

 誰にも見られず、家に着きました。


 お湯を沸かし、ミューの頭と身体を洗います。

 ミューは気持ち良さそうにしています。

(本当に獣人だよ猫耳に短いけど、尻尾まであるよ)

(この尻尾なら、スカートで隠れそう)

(でも何で獣人?おかしいなミネルバロードには、居ないはずなんだけど)

 グーってミューのお腹が鳴りました。


 ミューちゃんの服は洗濯、私の服を着させます。

 ミューちゃんには、私の服は少し小さかった見たい、ちょっと悔しい!

 胸とか、手足の長さとか·····

「あっ、帽子被って!」

(うん、此で普通の女の子に見える)


 手っ取り早く食事の出来る、サラさんの宿屋に二人で行きました。

 サラさんは「あらあら」って、笑顔で迎えてくれます。

 夕飯は焼肉にスープ、甘くないホットケーキ(サラさんは、パンって言ってた、パンケーキと言えない事も無いかな?)

 ミューちゃんは、モキュモキュせわしなく食べて居ます。


 サラさんは「この娘誰?」って聞いて来ました。

「旅に出ようと思って、仲間になってもらったの」

 曖昧な返事と思いながら答えましたが、サラさんはそれ以上何も聞かないでくれます。

 サラさんの優しさに、申し訳なさと感謝の気持ちが涌いて来ました。

 サラさんに、お礼を言って家に帰りましす。


 ミューちゃんが一緒が良いって言うもので、同じベッドで眠りました。

 疲れていたようで、ミューちゃんから、すぐに寝息が聞こえて来ます。


 つい猫耳をみてしまいます、リアル獣耳だよ!!

(そう言えば、以前201号室の前を通ってた時「ギャー獣耳ハーレムも壊れてる!!」って大声が聞こえてた、ミネルバロードと獣耳ハーレムが混ざっちゃった?)

 いつの間にか私も寝ていたようです。


 でも、夢は覚めませんでした。

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