りなちゃんとゆきうさぎ

佐倉あかり

 

 「わあ~ゆきだ!すごい!すごい!」

 

 「だめよ、りなちゃん。そんなにはしゃいだらまたおねつがでちゃうでしょ    う。」

  

 「だいじょうぶだよ、おかあさん。

  それよりもわたし、ゆきにさわるのはじめて!」

 

 りなちゃんはとてもうれしくなりました。りなちゃんは、むかしからからだが

よわくて、そとであそぶことができなかったからです。

  

 そんなりなちゃんに、はじめてのともだちができたのです。

 それは、まっしろなゆきうさぎでした。

 

 「どうしたの、だいじょうぶ?」

 なんと、そのうさぎは、あしをけがしていたのです。

 

 「ちょっとまっててね。すぐてあてするからね。」

 

 そしてりなちゃんは、ゆきうさぎのあしのけがをてあてしてあげました。

 

 「よしっ。これでもう大丈夫だよ。」

 

 でも、ゆきうさぎは、まだうごくことはできません。

 それをみて、りなちゃんはお母さんにききました。

 

 「ねえねえ、おかあさん。うさぎさん、まだうごけないみたいなの。

  しばらくおうちにいてもいいかな?」

 

 すると、おかあさんはいいました。


 「わかったわ。ただし、けががなおったらおうちにかえしてあげるのよ。

  うさぎさんにも、おうちがあるからね。やくそくできる?」

 

 「うん。わかった。」

 

 そうして、りなちゃんとゆきうさぎのせいかつがはじまりました。

 いっしょにあそんだり、ごはんをたべたり。

 りなちゃんとゆきうさぎは、いっしょにたのしいじかんをすごしました。

 

 しかし、おわかれのときはこくこくとちかづいていました。

 

 「うさぎさん、うさぎさん。どこ行くの?」

 

 りなちゃんはゆきうさぎに聞きました。

 

 「これからおうちにかえるんだ」

 

 「おうち?うさぎさんのおうちって、どこにあるの?

  わたしもうさぎさんのおうち行ってみたいな。」

 

 すると、ゆきうさぎはこたえました。

 

 「だめだよ。」

 

 「どうして?」


 「ぼくのおうちはとってもさむいところにあるんだ。」


 「どうしてさむいところにあると行っちゃだめなの?」

 

 「ぼくがあたたかいところにはいられないのとおなじだよ。

  りなちゃんがぼくのおうちにきたら、りなちゃんはもうおうちにかえれなく  なっちゃうから。」

 

 「そっか・・・じゃあもう会えなくなるんだね。」

 

 りなちゃんはかなしいきもちになりました。だって、もうゆきうさぎに会えなくなってしまうのですから。

 

 すると、ゆきうさぎはこういいました。

 「だいじょうぶだよ。ゆきがふるきせつになったら、またあえるから。」

 

 「ほんとうに?」

 

 「うん。やくそくするよ。」

 

 「やくそく!」

 

 そういってふたりはゆびきりをしました。

 

 

 







 そして、ゆきうさぎとりなちゃんはじぶんのおうちにかえり、またあえる日までまつことにしたのでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

りなちゃんとゆきうさぎ 佐倉あかり @Disny0413

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る