異世界からやって来たオタク系魔法使い女子が家に住み着いてるんですが

花棚(けだな)小みかん

0話 オタク系魔法使い参上(?)

「んなぁぁぁぁぁぁぁ!何このガシャ200円のくせにこんな被る訳ぇ!?インチキじゃんこんなの…こうなったら私の"とっておきの魔法"で確率を弄…」

「ルリアさんちょいまってちょいまって、そんなことしたら店員に怒られるからやめようね?ね?」


ガシャガシャの機械に向かって物騒な発言をしているこのルリアさんは"ミストル"という国から突然やって来た魔法使い。つまりは異世界人らしい。


「そんなこと言ったってさぁ優希くん。10連分回してフルコンプできないのおかしくない?中身のカプセル10個以上あって残り1種類出せっていうの!?」

「2000円回してほぼ揃って後1種類でフルコンプって普通に運良すぎません?」

「え?そうなの…?」


「アナタのやってる"ドルスタ"のガシャなんて3000円10連でお目当てのキャラ出ないでしょ?下手したら9万掛けなきゃお目当ての娘は出ないでしょ?」

「言われてみれば…んじゃ、ドルスタの方に私の魔法を使えば…」

「そっちでもやっちゃダメですからね?」


見ての通り彼女は異世界から来た魔法使いとは思えないほどのオタクだ。しかもこっちに来てからこうなったのではなくミストルという国に居た頃からそうなったみたいで。

彼女の話によるとその国を救った勇者がよくある異世界物で観る「オタクで目立たない平凡な男だがチート能力を持ち」というテンプレ感の強い人間らしい。

その勇者がミストルへ転生した際に何故か一緒に持ち込まれていたキャリーケースに入っていた同人誌を読んでしまったのがキッカケでルリアさんは興味を持ったのか、その他に持ち込まれた転生する前に買っていた雑誌などを読んでオタクになったという話。


その後世界が平和になってオタク勇者は元の世界に戻ったのだが、その人が持っていた作品が気になりすぎて1年経った頃に内緒でこっちの世界へ探しに来たのだが、見つけた頃には彼は英雄になった事をキッカケに脱オタしていたみたいで『その時の自分は黒歴史だから…』と言われ相手にされなかったらしく。仕方なく元の世界へ戻ろうと思ったら、ショックのあまり自分がどの魔法を使って移動したか忘れてしまい戻れなくなった。なんとか戻ろうと必死になってあれこれ適当に魔法を唱えて居たら、彼の居た秋葉原から何故か僕、下祓川優希(しもはらいがわゆうき)の居る鹿児島へたどり着いたという話……らしい。


「それにルリアさん、あと2000円くらい出せばほぼ確定で入るかもしれないんですよ?ソシャゲのガシャと比べたらまだ良心的じゃないですか?」

「確かに1万以下で全部出しきれるなら安いかもしれない…。」

「…んで、必死に回してますけど何のガシャ回してんですか?」

「ドルスタの"秋野あいり"ちゃんのボールチェーンマスコットがほしかったの!」

「…あぁ。」


ドルスタの秋野あいりというキャラにハマったキッカケがその勇者さんが持っていた同人誌(健全)だったらしく、こっちへ来る前も秋葉原でその人から関係を切る意味で1万円分のグッズを買ってもらったとかなんとか。

その勢いはこちらへ来ても変わることなく田舎特有の「一つ前のガシャガシャシリーズが何故か置いてある」というのに気づいてから元の世界へ帰る方法を考えることなく居座って数ヶ月が経っていた。

正直な所「そんな事やってる暇があったら戻る方法探せよ…」というお気持ちしか無かった。


「そうとなったらマシン空にするまで引くぞぉ!」

「…で、ルリアさんは何師にこのスーパーに来たんですか?まさかガシャを回しに来ただけじゃ…」

「え?それだけのためだけだけど?なにか問題でも?」

「え…いや…別に問題はないです。」

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異世界からやって来たオタク系魔法使い女子が家に住み着いてるんですが 花棚(けだな)小みかん @kirhisima_Akey_mikan3

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