第8話 深夜のキングダム

そらと私は虚ろなままで晴れた朝には殺人を頭の中では繰り返していた。私のささいな質問に答えが出せない愚かなヤツは、この世で生きてる意味などないので、いつも即座に射殺した。そらは私の泪を舐める。そのたびそらは虚しく鳴いて、カラダはどんどん薄らいでゆく。


真也よ、真也よ、真夜中の真也よ。刻んだキャベツは凍るスロー。投げたつもりが固まった。誰のとこにも届かない。打ち上げ花火は届かない。土の底から湧き上がる炸裂の花が産み落とす奇形の虫が湧き上がりきっと未来を食い破る。


モーセよパブロよローマを壊せ。国の境を踏みにじれ。心の深みに囚われて何万由旬と旅をしろ。行く先々で呪われろ。一億殺めて讃えられ、一人の身内に涙する。偽りの王が統べている。孤独が世界を支配する。おまえと私のキングダム。ひでり続きの大地の陰でそらも私も虚ろなままだ。生きてる側から骸のままだ。生まれる前から骸のままだ。

そらと私は虚ろなままで晴れた朝には殺人を。

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