空白を見つめて
鈴雲朱理
空白を見つめて
どういうわけか私は、世界が物語であふれていると思い込んでいた。道を歩けば物語とすれ違い、空を見上げればたゆたう物語と目が合う。そんなふうに思っていた。
けれど、私は誤解していた。この世界にそんな素敵な摂理はなかった。代わりにあったのは無味乾燥な空間と時間だった。私が夢世界に見紛った世界はなんだったんだろう。最近はそんなことを考えて過ごしていた。
物語とはどこにもないものだった。それでいて確かにそこにある世界だった。物語とは言葉ではなく意味だった。言葉の生成する意味空間のことだった。ごく当たり前のことでありながら、なぜか私は見落としていた。
物語は目に見えない。見えているのは記号の羅列。私が作りたいものは文字の並んだ紙切れではなくて、その先の広大な意味空間。
最初は何もない。何もないところに世界を作る。私は神になれるだろうか。
空白を見つめて 鈴雲朱理 @Akari_comet
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