第32話 茶舗

いらっしゃいませ。どうぞ、奥へ。本日はお暑い中、ありがとうございます。


ここは普段、ちょっとしたお茶講座を開く場所として使っているスペースなんです。


そうです。敢えて喫茶スペースから離れた場所にしてあります。これは、設計当初からの配置ですね。生徒さんたちに、集中してレッスンを受けて頂きたいですから。


今日は当店のご紹介ということで、一通りお出しします。


まずは、お水をどうぞ。当店でお出しするお茶は、全てこの水で煎れております。


ありがとうございます。やはり、お水によってお茶の味はだいぶ変化しますから。とはいえ、実は水道水を使っても「美味しい」お茶を煎れることはできます。ただ、安定した味を、一貫性のある商品としてご提供するためには、一年を通じて安定した水質を保つ事が必要ですから。


ええ、商品として「良い」ものと、ご家庭で楽しむ「良い」お茶は、少し違いますから。季節や、煎れ手の気分によって「ムラ」や「ばらつき」が出るのは、商品としては問題です。が、家で楽しむお茶であれば、それも大らかに味わいとして楽しめる。それが、自分でお茶を煎れることの「良さ」だと思います。


そろそろ汗は引きましたでしょうか。今年の新茶です。まずは、熱いものをどうぞ。


今年は特に、香りのキレが良いですね。後味もすっきりとしているので、お料理にもよく合うかと。


次に、水出しです。新茶は水出しにすると味がぼやけがちなのですが、今年のものは水出しでもよく香りが楽しめると思います。


ありがとうございます。そうですね、最近はこういった水出し専用ボトルも販売されていますので、比較的手軽に冷茶を楽しんで頂けるようになりました。


ああ、業務用。サイズを大きく。うーん、確かに需要ありそうですね。今度メーカーさんとの打ち合わせがありますので、お伝えします。ご意見ありがとうございます。


そうですねぇ、茶葉の量が増えるぶん、戻り具合や味の出方に変化があるかどうか。実験は必要でしょうが、やる価値はあると思います。


それでは次は、煎茶の飲み比べを。これが産地シートです。味のバランスもチャートで付いておりますので、よろしければ御覧ください。

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