第2話 異空間が使えるようになりました

 これって、夢じゃないよね?

 俺は、辺りを見渡した。ちょっとした高台みたいで、木はまばら。


 立ち上がってクルッと見渡すと、麓に街が見える。


 というか、何をどうすればいいんだ?


 ――まずは、空間魔法の使い方を教えよう。


 「ひい……」


 びっくりした。頭にあの声が響いた。


 マ、マーガラス様ですか?


 ――そうだ。その世界では、口に出す事で魔法を使える。まずは、異空間と唱えよ。


 「異空間?」


 フッと目の前に複雑な魔法陣が描かれ、まがまがしい空間が出来上がった。と言っても、片手が入るぐらいの大きさしかない。


 ――今はまだ、使い慣れていないのでその大きさだが、お前が成長すれば大きさも変えられる。その異空間に、手に入れたアイテムを入れよ。手始めに、目の前にある石でも入れてみよ。


 これね。

 変哲もないただの石ころだと思うけど、それを恐る恐る空間の中に入れた。


 《集めたアイテムは1つになりました》


 あ、勝手にカウントしてくれるんだ。


 あの、何個集めればいいのですか?


 ――数はわからないが、全て集まればわかるようになっている。時間はたっぷりある。魔族の体は魔力があれば、無限に保たれる。


 それって、寿命がないって事?


 ――そうともいうな。しかし、魔力切れには気を付けろ。体内の魔力がなくなれば動けなくなる。そして、死なないわけではない。その体が消え去れば死ぬ。死んだ場合は、お前の魂は我の糧となる。


 糧!?


 ――契約とはそういうモノだ。お前の望みは叶えてやったのだ。我の望みも叶えよ。そうだった。その魔眼は、いわゆる鑑定などが出来る。イメージして使ってみるとよい。では、期待しているぞ。


 待って!! あの、連絡を取りたい時はどうしたらいいでしょうか?


 ――異空間が開いている時に話しかけるとよい。ただし、全ての行動に魔力を消費する。使って体が慣れれば、体内に溜められる魔力が増えるが、一気に使えば枯渇する。考えて使う事だな。それと我の事は、誰にも話してはいけない。よいな。


 わ、わかりました。が、がんばります!


 しーん。

 消えたのかな? それにしても魂を人質? に取られるとは。

 けど考えようによっては、優しいのかな。

 願いを叶えてくれたのは本当だし。悪い事をすれって言われたわけじゃないし。


 あれ? いつの間にか異空間が消えている。

 まずは、ここら辺のをかき集めて異空間に入れるかな。石もアイテムとカウントされるんだから、凄く大量な数になりそうだよ。


 でもワクワクする。魔法も使えて、鑑定も出来て!

 俺は、とりあえずそこら辺の物を一か所に集める事にした。

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