第16話 期待の大型新人
その後しつこく罵ってくれと言うセレナさんから逃げてブルースとカミツレに助けを求めるため探しはじめた。
美人に迫られるなんて今までの人生でなかったからびっくりした。
けど、なんというか目が本気すぎてドン引きしてしまったのである。
ブルースとカミツレはすぐに見つかった。仲良くなったのか、何やら会話をしているのが聞こえた。
「……そこで主殿が颯爽と麻袋から魚を取り出したのでござる。拙者は主殿の優しさと魚のあまりの美味しさに感激したでござる。このお方に一生、着いて行こうと決めたのもその時でござる」
「おー、すごーい!」
「カミツレ殿もきっと主殿のお側に居ればその優しさと素晴らしさがわかるでござるよ。」
「ソラト優しいのは知ってるー!」
どうやらブルースの話にカミツレが相槌を打っていただけらしい。
ブルースは目をキラキラさせ熱弁しているがカミツレは子供の様に素直に返してるだけのようだ。
ここでカミツレが俺に気付いたみたいで声を掛けてくる。
「あー!ソラト来たぞー」
「これは主殿!今主殿と拙者の出会いと素晴らしさをカミツレに語っていたでござるよ!セレナ殿との大事な話というのは終わったのでござるか?」
「よ、よお。まぁ、一応話したんだけど、逃げてきたというかなんというか。冷静さを欠いていて少し興奮してるみたいだから離れる事にしたんだ。一応ブルースとカミツレにも繋がる話だから話しとこうと思ってな。」
「「??」」
と、切り出してブルース、カミツレにセレナさんをテイムしてしまった事を話した。
「主殿なら当然でござる。確かにカミツレと同じ様に昨日からセレナ殿との繋がりを感じるでござるな。」
「ソラト、すごい!」
「い、いやすごいとか言われてもな…まぁいい、それで今後の目標とか考えようと思ってな。」
「はて?目標というと?」
「セレナさんに着いて行って人の町に行ってみたいし、エルフにも会ってみたいな。あと、ダンジョンも気になる。」
「ふむ…エルフの集落なら案内は出来るでござるよ。友人が居るでござるので。あと、拙者はダンジョンも案内することは出来るでござる。そのエルフの友人に恩を返すためダンジョンで暫し戦闘訓練を積んでたので二十層までなら案内出来るでござる。」
「オレもダンジョン行きたい!ソラト連れてって?」
え?ブルースってエルフに友人が居るの?しかもダンジョンの二十層ってどういう事?
何層まで有るんだろ?
あとカミツレ、そんな子供が親に遊園地をせがむみたいにダンジョンを軽く言うもんじゃありません。
と、ここでふとカミツレのステータスが気になった。
「なぁ、カミツレ!ステータス見せてくれないか?」
「んー。何それ?どうやって見せるのぉ?」
頭の上の耳をぴこぴこさせながらなんてことない風に返された。
よくみると白銀の髪の下に人の耳があるのが見える。すげぇ!これも人狼に進化したためだろうか?気になるな。
「簡単だ。ステータス・オープンって言えば良いだけだよ。頼む」
「ん。ステータス・オープン」
名前 カミツレ
種族 人狼 コボルト種系統最終進化_NEXT・・・?
レベル 33
年齢 4才
主 ソラト・ユウキ
称号 コボルトの王 覇を極めし者 慈愛の女神
能力
物理攻撃力 700
物理防御力 680
魔法攻撃力 390
魔法防御力 440
敏捷 1020
運 380
所持 肌着 オーク肉
スキル 咆哮 人化 狼化 統率 一気呵成 天罰の鎖
耐性 毒 麻痺
「なにこれー!」
思わず声を出してしまった。カミツレ強すぎないか?
あとオーク肉隠し持ってやがるし。食い意地でも張ってるのか?
最終進化だからステータスも高いのか。けど最終進化なのにNEXT・・・?って書いてあるからまだあるのだろうか?ブルースにはこんなの書いてなかったけどな。
スゲー気になる。
カミツレは尻尾を揺らしながら首を傾げている
「ん?オレ文字読めないから分かんない。」
あーそっか。コボルトには文字を使う文化がないのか。ブルースは読めたんだけどなぁ。やっぱ年齢の差なのだろうか。
「ブルースは文字読めるんだよな?なんで知ってるんだ?」
「エルフの友人に教えて貰ったでござる。もう百年くらい前のことでござるが」
なるほどなぁ。ブルースの友人のエルフって変わり者なのか?スライムに文字教えるって周りから見たら絶対キチガイ扱いされんだろ。でも根気もあるってことだよな。どんな人なんだろ。
「そうなのか。じゃあまずはそのブルースの友人を訪ねてみようか。興味が湧いてきたからさ。その後にダンジョンの調査。それがある程度落ち着いたら人の町にでも行ってみよう。」
こうして今後の方針が固まった。
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