はなをしる

なが猫さん

はなをしる

9月10日 神田 奈津


幻覚でも見てるのかと思った。

夢でも見てるのかと思った。

夢であって欲しかった。

夢であって欲しかった。


午後5時を回った、誰もいない教室の片隅。

彼女が倒れ込んで吐いたソレは、

誰が見ても疑わない。美しい花だった。


「何、これ。どう して。」


花からは、甘い甘い匂い。

彼女の頭を混乱させる。


オカルト話を信じなかった彼女が、

唯一、なんとか頭を横切った言葉。


「花、吐き病?」


すると突然、教室の扉が開く音がした。


「御名答だよ、神田君。君は賢い子だ。」


彼女の背中に悪寒が走る。


「先、生?」


彼女は名前が思い出せない。男は近寄ってくる。男は彼女の頭を撫でた。男は笑った。


誰だっけ。


誰だっけ。


誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけ誰だっけああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


パニックに陥った彼女は倒れた。


男は嬉しそうに彼女を見つめている。

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