_cheese cake_

世良 奇子

第1話

 _cheese cake_



「チーズケーキ、お好きですか」

突然とつぜんにそうたずねてきた。女はまっすぐこちらを見つめている。おれはただ、職務しょくむまっとうしようとしていたところだった。

 朝は5時起き。粗末な朝食を食べて、身支度はそこそこに家を出る。満員電車にられて業務開始時刻ぎょうむかいしじこく15分前には職場に到着した。そそくさと制服へと着替きがえ、それからしばしの間、所狭ところせましと積まれた段ボールや紙袋の山と対話をするのだ。

 得体えたいの知れないを、見ず知らずのの家までご親切しんせつにお届けして安全にわたし、そのうえそいつのファンでもないのにまで書いてもらわなきゃならない。それが俺の仕事だから。

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_cheese cake_ 世良 奇子 @SeraAyako

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