第35話 エピローグ

* 七日目


 南雲一樹は目を覚ました。そこは南雲一樹の部屋だった。

 時間は丁度七時。いつも目を覚ます時間だ。

 机の上には着替えが用意されていた。

 学校の支度をする。

 いつも通り学校へ向かう。

 教室に着く。京也の席には誰も座っていない。

 朝、先生が教室に入ってくる。京也はまだ来ない。

 先生が言う。「昨日の夜、五十嵐京也君が、昨夜、自宅で亡くなりました。他のクラスにも亡くなった生徒がいます。今日の一時間目は中止とし、集会を開きます」

 教室が騒がしくなる。

 体育館で集会が行われる。黙祷を捧げ、校歌を歌う。

 学校の生徒が、一晩で九人も死ぬ。それは、たくさんのうわさ話を作ることになった。

 

 南雲一樹は舗装された道を一人で歩いていた。季節は秋。高校生になって二度目の夏休みに蓄えた怠惰も吹き飛んだ日。空腹を紛らわせるためにコンビニで買ったパンを食べながら帰宅する。話す相手はいない。屋敷に着いたら、荷物を置いてシャワーで汗を流し、課題に勤しむ。そして時間になり、執事が呼びに来たら夕食を食べる。そして寝る。

いつもならそうするはずだが、今日は違った。課題をやらずに、昨夜に見た夢の出来事をパソコンに記録していた。

「一樹様、ご夕食の時間になりました」

「あぁ、そろそろ終わるからもう少し待ってくれ」

「ご夕食が覚めてしまいます」

「えぇ……」

「ですので早く食堂に――」

「ちょっと待って。ちょっと待って!今終わらせるから!」

「食事の後でもできるはずです。今は早く食堂に――」

「あとちょっと!」

「集合してください」

 その言葉には、有無を言わせないほどの重さがあった。


~終~

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