第6話 そういえば

男の娘状態になって舞い上がったのは確かだが、そうじゃないんだ。


俺は男の娘が好きだ。けど、男の娘になるのは違くないか?


ここで文句を言ったとしても何かが変わるわけではない。


このことについては性別が変わったわけではないから生活上は問題ないだろう。


それ以前にこの世界で生き延びることができるのかという話だ。


結局魔神の解説では俺のステータスしか教えられてないわけで一般的な数値が知らされてない。


レベルアップ制という事は魔物がいるのだろう。


最初の魔物はスライムorゴブリンorコボルトという可能性が浮上してくるわけだが、俺は武術の心得なんかあるわけもない。


この鉄の短剣(?)とやらで訓練もなしに倒すことは果たして可能なのだろうか。


…まぁ、何とかなればいいな。

俺は何を思ったか唐突に腰に装備されている短剣を取り出す。


そして適当にそれっぽい構えをとり、上段・横振り・突き上げ・切り払いしてみた。


異世界系でよくある武器が体になじむ感覚は無く、動きもキレがない。

そりゃそうだ。

考えなくとも普通の高校生の癖して武器が手になじむ点からしておかしいのだ。大体普通の高校生なら、モンスターを倒すことに抵抗は生じるはずだ。


物語が円滑に進むために致し方ない事だが、実際は今の俺みたいな感じだろう。


短剣って斬るのに使うっけ?


耐久度が低いから突き刺すとかじゃなかったっけ?


専門的な知識もないから、よくわからない。


どこに街があるかもわからないけどとりあえず動こう。夜になったりでもしたら身動きなんて取れないし。


あ、そういえば人間勢力が勇者召喚を行うって言ってたっけ?


しかも高校生、同学年かは分からないが年の近い人たちが戦いのために異世界転移してくるのか。現実味がないな。


とはいえ、今の俺の状況も現実味がないけど。


他人のことを考えられるなんて、俺ってまだ余裕な感じか。いい気なものだ。

とにかく今の目標は『生き延びること』だ。


できれば魔物とかに会いたくないなぁ~なんて…無理かな?

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