/3 聖堂~執行部室(六月四日)

 久々の快晴だった。


 碓氷姉妹の話を聞いた翌日、昼食を終えたわたしは、体調不良につき午後の講義は欠席するとまひろに伝言を頼み、その足で自室へは向かわずに寄宿舎の外へ。あまり人目につきたくなかったし、学舎を通り抜けはせずに、大回りして庭園の東に出た。


 そのままこそこそと、周囲の様子に気を配りながら、北東の広場までやって来る。見計らったかのように、カランコロンと鐘楼が昼休みの終わりを告げた。


 幸いなことに、ここまで誰とも行き遭うことはなかった。立場上、出席が少なくともそれなりにお目こぼしが利くのだが、流石に外をふらついてるところを見られたらお咎めを受けそうだ。


 多少のリスクに目を瞑ってでも、早めに調べを進めておきたかった。何せ今回はリミットが見えないのだ。明日には教師陣にミナの妊娠が露見して、何もかもが無駄になるかもしれない。そしてそのとき、結実した呪いが弾け、周囲にさらなる種子を撒き散らす可能性もまた否定できない。


 これは人助け。善行善行。決して退屈な講義から逃げ出したわけではない、と自分に言い聞かせながら、わたしはロマネスク様の聖堂の前に立つ。聳えるような古い木の大扉に、顔を寄せ耳をそばだててみるが、中から人の声は聞こえなかった。少なくとも聖堂内で講義は持たれていないだろう。


 暑さに滲む汗を拭ってから、重い扉を押し開き、聖堂に侵入する。


 建物内は随分涼しかった。石壁が外の熱を遮断しているお陰だろう。空調も入れていないようだが、実際かなり過ごしやすい。


 身廊を歩む足音に気づいたのか、正面――聖域の際に立つ人影が、こちらを振り返った。


「おや、貴家くん。

 こんな時間にどうしたのですか?」


 祭服カソツクに身を包んだ背の高い眼鏡の男――鈴白要すず しろ かなめが、いつもの貼り付けたような笑みを見せる。しかし気になるのはお馴染みの胡散臭い微笑でも、肩から吊られたままの痛々しい左腕でもない。男の頭上でぷかぷかと上機嫌な様子で浮かんでいる亡霊の方だ。


「げ」


「げ?」

 

「いや、今どき『げ』はないわよ」


 やって来たわたしと鈴白の反応を見比べながら、硝子が呆れた声で非難する。


 ――すっかり忘れていた。この女、学舎の外に出られるようになったんだった。


 そして鈴白要も、最早硝子を認識できなくなっていた。たとえ彼女が高笑いを響かせながら聖堂を飛び回っていたとしても、男には何も視えないし、聞こえないのだ。


 男の呪いは、わたしが引き受けてしまったから。


「――貴家くん?」


「い、いえ。今日は体調が優れなくて。

 少し涼んで行っても良いですか?」


「構いませんが――河合先生を呼んだ方が良いのではないですか?」


 気遣いからか、鈴白は大袈裟に眉を寄せながら養護教諭の名を口にした。思わず苦笑する。体調不良は嘘ではないが、この程度は日常茶飯事だ。


「それには及びませんよ。

 というか、知ってるでしょ? わたしの場合、誰かがいた方がキツいんですよ」


「――ああ、確かに君はそうでしたね」


 鈴白が余計に表情を曇らせた。

 

 鈴白は、わたしの幻視に――いや、恐らくは嫌悪にも気づいている。

 

 元より、わたしの精神に不安があることは、教職員に周知されている。勿論、わたしが生来抱き続けている生理的嫌悪については、まひろと硝子以外に話したことはないから、教師どころか家族ですら知らない秘密なのだが――鈴白要は、わたしを鏡と言っていた。


 男の確信に間違いはない。先日のやりとりで、わたしの視る世界がどんなものなのか、おおよその察しはついているのだろう。


 ――他人が愛しいと思うもの、美しいと感じるものが、わたしにはどうしても理解できなかった。


 幸か不幸か教育に恵まれていたものだから、周りがどういったものを好むか、どういった振る舞いが善しとされるか、物心つく頃には人並みの倫理観が身についていたように思う。


 それでも、ふとした瞬間に、わたしにとっての世界が、堪え難い腐臭を垂れ流し続ける、爛れ切った肉の檻であることを思い出してしまう。


 そんなわたしだから、鈴白の視ている世界を想像するなら簡単だった。何せ自分の視ているものを、すべて逆さまにしてしまえば良い。それがたとえ独り善がりでも――男の世界は、きっと愛に満ちていた。


 ――そして、わたしたちの世界における唯一の交点が、心臓痕硝子という魔性だった。

 

 たとえ呪いから解き放たれても、鈴白の本性は変わっていない。わたしの苦しみを、我がことのように理解しているはずだ。


 だから男は、こんなにもわたしを哀れんでいる。


「であれば、僕も外しましょうか? 幸いこのあとは講義は入っておりませんし、放課後まで誰も来ないと思いますよ」

 

 そう言って、鈴白が身廊まで踏み入って来る。低く落ち着いた声音は、男の気遣いを感じさせた。


 だが既に、男の視界に硝子の姿は亡い。今ここに彼女がいることにも、もしかして気づいていないのだろうか。鈴白の背後に立った悪霊が、ひょこりと顔を覗かせて、何故だか得意げに笑っていた。


 鈴白が去ってしまえば、硝子と二人、この広い聖堂に取り残されることになる。それはそれで避けたかったので、そろそろ本題に取り掛かるとしよう。


「流石に神父様を追い出しはしませんよ。

 それに、ちょうどお訊きしたいこともありますし」


「成程、妙だと思いました。何の用件もなしに、君が僕に会いに来る筈がありませんね」


 得心顔で頷く鈴白に、もののついでですと嘯いておく。生理的嫌悪以上に、わたしが鈴白を苦手としていることも、うに理解しているらしい。


 切り出し方を思案しながら、手頃な会衆席に腰を落ち着ける。硝子もこちらにやって来て、顎で席を詰めろと指図するので、その通りにしてやると、わざわざわたしの隣に座った。


 立ったままニコニコとこちらを見ている鈴白には、今のやりとりがどう映ったのだろう。

 

「――男と交わらぬままに子を孕む、なんてことが、果たして現実にあり得るんでしょうか?」


 口に出してから後悔した。聖職者相手にしても、いやだからこそ、あまりに粗末な問いだ。唐突な疑問に、鈴白も目を丸くして驚いている。隣に座る亡霊が、煽るように口笛を鳴らした。


「珍しいですね。君がそのような質問をしてくるのは」


「やっぱり不毛ですかね?」


「決してそんなことはありませんよ。

 ただ、普段の貴家君ならそう言って一蹴しそうだと思っただけです」


 鈴白の指摘は尤もだ。何の信心もないわたしが、聖書で語られた出来事をそのまま事実として受け容れるわけがない。カトリックですら聖書を無謬のものとしながらも、解釈することを認めている。


 それでも現実に、碓氷ミナは苛まれていた。妹の末奈も、ミナ自身も、処女のまま妊娠したなどとは言わなかったが、ミナは天使を視ているのだ。意識せざるを得ない。


 そしてそのことを、今の時点で鈴白に伝えるわけにはいかなかった。男は司祭であり教師であるが、他人に誠実であろうとするあまり、口は固くとも、隠しごとには向いていない。秘密があるかと問われれば、馬鹿正直にと答えてしまうのが、鈴白要という人物だ。


 それに教師からすれば、妊娠の疑いのある生徒を放置しておくなどできる筈もない。秘密を守るべき司祭という立場であっても、流石に目を瞑ってはくれないだろう。


 だからここは、無言で押し通すのみだ。


 そうしてしばらく黙ったままでいると、鈴白も諦めたようにと息を吐いた。


「良いでしょう。君のことです。また絡みなのでしょう?

 感心はできませんが、貴家君にとっては一番の重要事だ。それに――僕が君の行動に救われたのもまた事実です。協力は惜しみませんし、詮索もしません。今のところはね」


「助かります」


 話が早いに越したことはない。碓氷ミナくらい先回りされると、流石に薄気味悪くなるが。


「それではご質問の件ですが――わざわざ僕に尋ねるのですから、まずは司祭らしく処女降誕――聖母マリアと御子キリストについてお答えすべきですね?」


「ええ。お願いします」


 宜しい、と言って、鈴白は一度咳払いをしたあと、何故だか身を翻した。男はそのまま聖域まで歩いて行き、やがて聖書台に立つと、ようやくこちらに向き直った。特別講義とでも言わんばかりだ。


「貴家君も知っての通り、聖書において、マリアは処女のまま御子を身籠ったとされています。これは信仰箇条にも記されている、我々の信仰の礎の一つです。

 ひとまず生理学的な正しさはさておくとして、我々はそのことを何らかの比喩として捉えてはいません」


 朗々とした口調で、鈴白が断言した。どうやらこちらの質問の意図まで汲み取ったらしい。ひとまず横槍は入れずに続きを促しておく。


「処女という言葉は、一般に言われている意味以外にも、いくつかの意味を見出すことができますが――今日のところは大まかに、肉体的な処女性と精神的な処女性の二つからご説明しましょう。

 肉体的な処女性とは肉体の完全性――文字通り、男性経験がないということですね。

 一方で精神的な処女性とは、性的な快楽に溺れていないことを指し、実際の男性経験とは関係ありません。

 処女おとめマリアは懐妊に際し、そのいずれをも失っておらず――また教理において、まずもって強調されるは、前者の肉体的な処女性の方です」


「つまりキリスト者である先生は、マリアが処女のまま妊娠したと信じているわけですか?」


 門外漢からすれば奇妙に思えたが、鈴白はやはり当然のごとく首肯した。


「ええ。そしてそれこそが、キリストが神である証と言うことができるでしょう。聖霊によって御子を宿したからこそ、マリアの処女性が損なわれることもなかったのです。

 しかし、これはあくまで信仰の上での話とも言えます。貴家君は、処女降誕がどの福音書に記されているかご存知ですか?」


「マタイ福音書とルカ福音書ですよね」


 流石にそれくらいはわたしでも知っていた。処女懐胎――処女降誕は、マタイ福音書とルカ福音書に記された、キリストの誕生にまつわるエピソードだ。


 ――処女マリアは、自身の聖霊によって身籠ったことを、大天使ガブリエルから知らされた。そしてそのとき宿された御子こそが、神のひとなるキリストだった。


 わたしの回答に、鈴白が再び、今度は満足げに頷いた。


「では福音書が記された順序についてはどうでしょう?」


「それ、今重要な話なんですか?」


 はぐらかしている風に聞こえたのか、硝子が癪に障る声で笑った。鈴白は鈴白で、出来の悪い生徒を愛おしむように微笑んでいる。


 胃からこみ上げてくるものを感じて、ついえづきそうになったが、妙な気を回されぬよう堪えた。顔色には出ずに済んだのか、鈴白は特に勘ぐる様子もなく話を続ける。


「勿論、重要ですとも。

 ご存知の通り、マルコ、マタイ、ルカ、ヨハネの四つの福音書には、共通の記述が多く見られます。

 中でもヨハネ福音書においては、他と通ずる出来事についても、より深く進歩的な思索がなされています。そのためほか三つより後世に書かれたものというのが、一般的な見解ですね」


「共観福音書でしたっけ」


 段々と、鈴白の言いたいことが見えてきた。


 わたしの呟きに応じて、頭上でくぐもった笑いが響く。そこでようやく、自分にかかった黒い影に気がついた。


 見上げると、いつの間に席を離れていたのだろう、ゆらゆらと硝子が漂っていた。体をこちらに向けたまま、ゆっくりと宙を泳ぐ彼女の姿から、水槽の中の鯨を想起する。


 そうしたわたしの空想に気づいたのか、視線を戻した先に見えた鈴白の苦笑は、何とも複雑な心中を伺わせた。わたしと目が合った男は、気まずさを誤魔化すように、眼鏡の縁に触れ、わざとらしく指で押し上げた。


「どうやら、調子が出てきたようですね。

 ヨハネ福音書を除いた、特に内容の共通する三福音書――共観福音書には、実のところ、マルコ書には含まれず、マタイ書とルカ書でのみ共通する記述も散見されます。

 ゆえにマタイ書とルカ書は、マルコ書を下敷きにしながらも、同時にを参照して書かれたと推察できるのです。聖書学においては、これを二資料仮説と呼びます」


「マルコ書に書かれていない話は、あとからマタイ書とルカ書で付け加えられたってことですね」


 その中には当然、処女懐胎の物語も含まれるわけだ。

 

「より正確に言えば、それらの記述はマタイ書とルカ書が参照したとされる資料――Qクー資料にあったと考えられますが、あくまで通説であり仮説です。Q資料そのものは見つかっていませんし、いつ頃に記されたものなのかもはっきりとはしていません。

 さらに、マタイ書とルカ書の加筆部分には差異も見られることから、Q資料に加えて、それぞれ独自の資料も参照して執筆されたと考えられます」


「馬鹿馬鹿しい。実在するかどうかも分からないものを前提に話を進めるなんて」


 実在しない亡霊が、頭の上から口を挟む。しかし仮説とは元よりそういうものだ。

 

 仕切り直すように、鈴白が小さく咳払いをした。


「失礼、脱線しましたね。

 つまり処女降誕の物語は、福音書記述者たちが、何らかの目的で付け加えたと考えるべきでしょう。

 たとえばそう――キリストの唯一性を強調するため、でしょうか」


「処女降誕――男女の交わりのない妊娠は、現実には起こり得ないと?」


「そうは言っていません。

 しかしキリストの誕生を、いわゆる異常出生譚と捉えることは可能でしょう。古今東西、傑物を傑物たらしめる所以として、しばしばその出自や出生から、俗人との差異が示されます。

 そして男女の契りなく子を成すことも、聖書に特有の話型ではありません。感生帝説かん せい てい せつを知っていますか?」


「中国の王朝神話に特徴的な話型ね。いんの始祖――けいの母である簡狄かん てきは、玄鳥の卵を呑み込んだことをきっかけに契を生んだと史記にあるわ。

 感生伝説とも言って、つまり性行為以外の契機をもって懐妊する、といった骨格がこれに当て嵌まるの」


 音もなく、後ろの席に降り立った硝子が、わたしの耳元で囁いた。成程、処女降誕は聖霊を原因とする感生と捉えることができるわけだ。


 しかしそれにしても、今日の硝子は鬱陶しいくらいに口を挟んでくる。聖堂に出入りできるようになったことが、そんなにも嬉しいのだろうか。どうせなら試験のときもこのくらい教えて欲しい。


「その話はよく知りませんけど、独りでに妊娠するって発想は自体は、それほどユニークではなさそうですよね。

 父親の分からない子どもなんて、現代いまのこの国にだってごまんといるでしょうし」


「慧眼です。

 これらの異常出生譚が、古くから唯一性の強調に用いられたとして――発想の根本には『父親の分からない妊娠』があるのかもしれません。

 しかし――そうした譬喩でもなく、神への信仰でもない。、妊娠以外の可能性も考慮すべきでしょうね。例えば――」


「想像妊娠、ですか」


 鈴白の肯定が、殊更重々しく聖堂に響いた。


 ――想像妊娠。妊娠に対する不安、あるいは切望から起こる身体症状。月経の停止や悪阻つわり、腹部の膨張感など、実際には妊娠していないにも関わらず、ほとんど妊娠時のような症状が現れるらしい。


「確かに、それなら碓氷ミナの症状にも説明がつくかもね」


 意地悪く笑う硝子の言葉には、やはり大いに含むところがあった。


 仮に、碓氷ミナの症状が想像妊娠であるのなら、なおさら男性との接点が必要となる。妊娠を強く意識していなければ、想像妊娠は起こり得ないからだ。だが――


(あの先輩ひとが、そこまで男に執着するか?)


 先日のミナの態度を思い返す。懸想しているようにも、逆に男を恐れているようにも見えなかった。


 いずれにせよ、まずは彼女の不在証明アリバイを確かめる必要がある。ミナ自身は妊娠を否定していたし、妹の末奈の言葉は当てにならない。

  

「さて、僕から言えることは、ひとまずこんなところでしょうか。参考になりましたか?」


「十分です。講義でもないのに、詳しくありがとうございました」


 こちらこそ、と言って、鈴白は講段を下りると、そのまま会衆席まで歩いて来た。何がこちらこそなのかは今ひとつ分からなかったが――長話に付き合わせたことを言っているのなら、とついでに尋ねてやる。


「話は変わるんですけど、先生はこの学院に来て何年目ですか?」


「? 今年で四年目になります」 


 脈絡のない問いに苦笑しつつも、鈴白が即答する。


 ――するり、と幻の腕が、わたしの背後から回り込み、胸元まで伸びてくる。横を見ると、すぐそこに硝子の美しい顔があった。わたしを後ろから抱きしめる格好だ。所詮触れ合うこともできないのだから、真似事に過ぎないが。


「では、サマリア会という名前に聞き覚えは?」


 その言葉を口にしてすぐに、存在しないはずの黒髪が、ぞわぞわとわたしの肌を這った。


 何も視えていないであろう教師は、しばし黙考したあと、やがてゆっくりと口を開く。


「確か――何年も前になくなった奉仕団体だったと聞いていますが。

 それがどうかしたのですか?」


「最近、また妙な噂が流れてるんですよ。

 その様子じゃ、本当に何もご存知ないんですね?」


「勿論ですとも。今まで僕が嘘を吐いたことがありましたか?」 


 そう言って、鈴白は裏表のない笑みを輝かせた。この男の場合、嘘がないから問題なのが。舌打ちをくれてやっても、男の表情を翳らせることはできなかった。


 じきに頃合いと見て、立ち去ろうと考えたそのとき、石畳を叩く音が迫っていることに気づいた。


「うわ、出た」


 硝子が心底厭そうに零した。


 振り返ると、聖堂の大扉が開かれ、白い頭巾ウインプルを被った盲目の修道女が、今まさに入室してくるところだった。


「覚えのある声が聞こえたと思えば、やはりお前か貴家。

 ――今更隠れても無駄だぞ。長椅子の陰にいるのは分かっている」


「だから何で分かるんですかね!?」


 健常者より遥かに鋭いじゃないか!


 釈明しようと起き上がったわたしを、何物も写さぬはずの灰の瞳が射抜いた。


「体調不良で部屋にいるはずのお前が、こんなところで何をしているんだ? まさか、急に信心に目覚めた、などと言ってくれるなよ?」


 どうやら、少しばかり長居し過ぎたらしい。体を濡らしていた汗も、涼しさのためかすっかり冷え切っていた。


 躊躇ためらいなく距離を詰めるシェーファーに対し、わたしはまるで蛇に睨まれた蛙だ。先程までわたしに抱きついていたはずの幻覚はといえば、薄情にも姿を眩ませたようらしい。


「まあまあシェーファー先生。ここは聖堂ですから、抑えて抑えて。

 貴家君は少しの間、涼んでいただけですよ」


 胡散臭さの塊のような神父が、いかめしさの具現たる修道女を遮った。ただ唐変木と思っていたが、意外なところで役立つものだ。感心していると、案の定、鉄の女の矛先は男へと向けられる。


「――司祭先生?

 先生がそうやって甘やかすから、余計にこの娘の問題行動が増えるのではないですか?」


 シェーファーの唇は薄い笑みを象っていたものの、その眼光は鋭さを増すばかりで、見ているだけでも肝が冷える。


 しかしそれも、男の極まった鈍感さに対しては、どうにも効果が薄いらしい。


「はっはっはっ。これは耳が痛い。実に道理です。先生は自他問わず厳しい方だなぁ」


「貴方が緩過ぎるんです!」

 

 シェーファーもついぞ声を張り上げるが、鈴白はいつもの笑みを湛えたまま、薄っぺらな謝罪で受け流すのみだ。


 少々気の毒にも思いながら、今を好機と見て、わたしは会衆席から駆け出した。


「あ、こら! 走るな――じゃない! 逃げるな貴家!」


 背後から聞こえる怒号に、当然応えるわけもなく、わたしはまさに脱兎のごとく、石の聖堂を後にした。



   *



 放課後を待って、わたしは学舎一階の生徒会執行部室に赴いた。


 わたしが聖堂から逃げ出したのは五限終わり頃で、実はまだ一コマ残っていたものだから、また人目につかぬよう大回りで寄宿舎に戻り、自室でしばらく時間を潰していた。終業の鐘を聞いてから部屋を出て、再び学舎へとやって来たわけだ。


 魚をあしらった摺り硝子が目を引く、古い木の扉を軽くノックする。とはいえ勝手知ったる何とやら、返事を戻ってくる前に、わたしは扉を開け放った。


 教室の半分ほどの広さの執行部室は、四方を資料で詰め込まれた書架に囲まれており、中央に長机が配されていた。業務と無関係なものを強いて挙げるなら、部屋の奥にシンクと冷蔵庫、それに食器棚があるくらいか。


 飽き飽きするような無駄のなさだが――いつもと違って、親交のある面々は一人として在室しておらず、代わりに入り口とほど近い席にいた下級生がわたしを見ていた。


「――あの、何か?」


 緊張からか、微かに声を震わせながら彼女が尋ねた。


 覚えのある顔だ。大きな眼鏡と、片目が隠れるほど長い前髪、そして三つ編みのお下げ特徴的な、いかにも文学少女然とした容貌の下級生は、確か――


「ごきげんよう、夜船よ ふねさん。

 神代とまひろはまだ来ていないよな。ここで待たせてもらっても良いか?」


「――ええ、どうぞ。

 会長たちも、すぐに来ると思います」


 小さな声で答えると、夜船は机上に開いていた文庫本を手に取って、猫みたいに背中を丸めた。

 

 わざわざ離れた位置に座るのも妙な気がしたので、ひとまず夜船の向かいに陣取っておく。上座の向こう――北側の窓が開放されていたが、入ってくるのは生温い空気ばかりだった。開けないよりはマシかも知れないが、座っているとまた汗が滲んでくる。


 そうして何をするでもなく暑さを堪えていると、どこからか視線を感じた。


 硝子が来ているのかと思って探してみたものの、予想に反して亡霊の姿は視えなかった。そうなれば当然、こちらを伺うのは彼女以外に有り得ない。


「なあ」


 わたしの声に、夜船が大きく肩をびくつかせた。怯えるようなその態度は、正直見ていて気分の良いものではない。


 ふと、つい先日食堂で、まひろから言葉遣いについて注意を受けたことを思い出す。


「えー、――夜船さん? ひょっとしてわたし、何か嫌なことをしちゃった、の、かな?」


 ――努めて、穏やかな声音を選んだつもりだったが、我ながらどうしようもなく気色が悪かった。


 そもそも怖がっている相手にこんなことを訊かれたところで、はいと答えられる筈がない。


「いえ――別に、そういうわけじゃ」


(――あれ?)


 案の定否定する声が聞こえたが、本の陰から僅かに覗く彼女の瞳は――それもほとんど前髪に隠れているものの――恐れとはまた異なる、複雑な光を宿しているかに見えた。


 しかし、わたしを嫌っていないと言うなら、なおさら不可解な態度だ。理由わけを尋ねようと、慎重に言葉を選んでいると、


「やあやあやあ!

 君から会いに来てくれるだなんて珍しいじゃないか! 今日は雪でも降るのかな?

 午後の講義は姿が見えなかったが、体調不良はもう良いのかい?」


 ――図体のでかい馬鹿女が、空気を読まずに割り入った。


「あ、舌打ち! もー、行儀悪いからやめなさいって前にも言ったでしょ!」

 

 シニヨンにお伴していた栗毛のちびが、早速わたしの不作法を見咎める。そのやかましい二人を先頭に、ぞろぞろと何名か続けて入室して来た。まるでひよこの行軍だ。


「訊きたいことがある。構わないな?」


 席を立ちそれだけ告げると、神代が露骨に眉を顰めた。訪問の理由は察しがついているだろうに、執行部室にまで押しかけて来るとは予想していなかったのか。


「今すぐかい? これから会議なんだけどね」


 神代は、なあ、と気障き ざに笑いながら、見せつけるかのようにまひろの肩へ手を回す。しかしその指先が肩に触れる前に、


「今日は大した議題もないから、後回しで大丈夫だよ。

 せっかくだしこの部屋を使ったら? 書庫まで上がるのも手間でしょ?」

 

 パシリ、と鋭い音が響いた。まひろが神代の手を叩き落としたらしい。速すぎて目視すらできなかったが。


「悪いな、まひろ」


「気にしないで。例の件でしょ?」


 まひろが小さくウインクした。――その横で、子どもみたいに不平を漏らす女が一人。


「おいおい、ぼくに拒否権はなしかよ。

 ガベちゃんは生徒会活動とルームメイトの私用、どちらが大事なのさ?」


「やだなぁ祭ちゃん。そんなのたみちゃんに決まってるでしょ」


 呆れるわたしをよそに、ルームメイトはルームメイトで、その無駄に発育した身体をくねらせていた。そろそろ頭痛がしてきたし、一度出直した方が良いかもしれない。


「ああ、そうかい。

 良いけどね、どうせ拙の説明不足が悪いんだろうし」


 いじける神代を無視して、まひろは背後の四人へ振り向くと、柏手かしわ でで音頭を取った。


「そんなわけで、みさきちゃん、ひなちゃん、順生じゆん なちゃん、しょ――夜船さん。着いたばかりでごめんね。食堂にお茶しに行かない?」


「おっ、良いねえ!」


「わっかりました!」


「大丈夫です」


「――先輩が、そう言うなら」


 各々応じると、鞄だけ机に置いて、こちらに会釈などしながら、またぞろぞろと退室して行った。


 残されたわたしたち二人は、しばらくの間、意味のない沈黙を共有した。 


「――よく気の回る嫁で羨ましいよ」


「嫁じゃねえ」


 女の頭を小突いてから、再び席に着き、机を叩いて茶を急かす。若干ムッとした表情を浮かべものの、神代は不承不承といった様子で準備を始めた。

 

「ところで、先程はフネちゃんと何を話していたんだい? 随分楽しそうだったが」


 目の前に麦茶の入ったグラスが置かれ、氷同士がぶつかる小気味良い音を立てた。来客に茶を出すと、神代もまた自分のグラスを持って行き、「生徒会長」の席札が置かれた上座に腰を下ろした。


「マジでそう見えたなら、さっさと眼鏡を作りに行った方が良いぞ。

 楽しいどころか、ろくに口も利けちゃいなかったんだ。あの、わたしに何か恨みでもあるのか?」


 わたしの問いに、神代は大袈裟に目を丸くしたあと、これまたわざとらしい笑いを響かせる。


「ああ、逆だ逆。

 フネちゃんは仕方ないよ。何せ君のファンだから」


「は?」


 神代が目元を拭うような仕草をして見せる。右目の下に黒子ほくろがあるだけで、涙なんて一滴も流してはいなかったが。


「一目惚れだとさ。

 ガべちゃんとは先輩後輩であると同時に恋敵でもあるってわけだ。

 相変わらずモテるねえ、色男。いや――色女か?」

 

 冗談とも素面ともつかぬ口調で神代が言った。お陰で頭痛は酷くなる一方だ。


「色々言いたいことはあるが――それ、仕事に支障ないのかよ」


 確かにまひろのやつ、ほかの一年は名前呼びだったのに、あの娘だけは名字で呼んでいた。預かり知らぬところで、先輩後輩関係に亀裂を入れていたとすれば、少しばかり忍びない。


 そんなわたしの不安を、神代はカラカラと笑い飛ばした。


「安心し給え。ガべちゃんとも一応上手くやってるよ。さっきだって仲良く出ていったじゃないか。

 それに、何を隠そうフネちゃんは前会長のお墨付きだ。事務仕事だって、去年の拙よりずっと手際が良い」


「――鹿毛か げ先輩の推薦か。そりゃ安心だ」


 だろう、と神代は誇るように言った。


 鹿毛綾香か げ あや かは、お手本のような生徒会長だった。見目麗しく、成績優秀で、人当たりも良い。令嬢としての気品と思い遣りをも兼ね備えた、無欠の人。さえいなければ、学院一の美貌というのも、彼女のための賛辞だっただろう。


「で、どうだいあの姉妹は」


 麦茶を啜りつつ、神代の方から本題を切り出した。このふてぶてしさがまた腹立たしい。やはりこの女、クレームがつくと分かっていながら説明を省いたのだ。


「どうもこうもあるか。毎度毎度ろくな説明もしないまま顎で使いやがって。

 お前、いい加減職務怠慢だろ」

 

「悪い悪い。でも最初は当事者から聞いた方が良いかと思ってね。

 あの二人の話は既に食い違っていたしな。拙がまとめて話しても良いが、必然的にどちらかにバイアスがかかるだろうし、取り零しもでるだろうしさ」


 軽薄な笑みの神代は、尤もらしく弁解した。だが所詮は上辺だけで、まったく筋が通っていない。


「サマリア会とかいう眉唾を黙っていたのも、それが理由だと?」


「ははあ、君はあれを法螺話と断じるわけだな」


「――お前、やっぱり馬鹿にしてるだろ。

 疑心暗鬼の人間に、余計なこと吹き込んでんじゃねぇよ」


 こいつがサマリア会の解散時に、何かトラブルがあったことを仄めかしていなければ、碓氷末奈マ ナももう少し余裕があったかも知れない。


「そんなに怒るなよう。一応先輩の頼みだから、拙も断り辛かったのさ。

 それに拙が伝えたのは、サマリア会が実在したこと、十五年ほど前に解散したこと、しかしその理由は分からないということだけだ。いもうと先輩がどう解釈するかまでは、拙も責任を負えないよ」


 よくもこう舌ばかりが回るものだ。神代はまさしく無責任な弁解で追及を逃れようとしていたが、こちらとしては仕事の邪魔をされた以上、ここで見逃す手はなかった。


「なら、を聞かせてみろよ。サマリア会には、噂されているような活動があったと思うか?

 そもそも、あの噂は出処は? いつ頃から流行っているんだ?」


 矢継ぎ早に問い詰めると、神代もようやく観念したのか、両手を上げて、先程とは違う力のない笑みを浮かべた。


「やれやれ、質問攻めだな。

 噂の出処や時期については、正直よくは知らないさ。今回調べた限りじゃ、昨年末に一時いつ とき、三年の間で話題になっていたらしいが――何せ会の解散は十五年前だろう? 似た話はもっと前からあったとしてもおかしくないんじゃないか。

 解散時のことも、当時を知る人がほとんど残っていないから、詳しい確認はまだ取れていないよ。だが言われているような如何わしい活動は、流石になかったと思うね。現実味がなさ過ぎる」


「それ見ろ。

 何も分かってないくせに、いい加減なことを人に言うなっての」

 

 神代の回答は解釈でも何でもない。ただ分かっていることを並べて直しただけだ。


「だから済まなかったよ。軽率だった、反省してます。

 実際のところ、サマリア会のくだりは妹先輩の憶測だ。姉先輩自身は、そのことに一切触れなかったし、ひとまず脇に置いて考えるべきだろうね」


 これまた当たり障りのない返事だった。これで答えた気になっているのなら、あまりに役に立たなさ過ぎる。


「――じゃあ、天使についてはどう考える?」


「おいおい、今の話を聞いていただろう? 見立てができたら初めから君に頼んじゃいないさ!

 貴家こそ、それだけ言うなら推測の一つも聞かせてくれよ」


 駄目元で訊いたとはいえ、開き直りを甚だしい。が、まったく道理がないわけでもない。

 

 グラスを手に取って軽く煽る。冷ややかさが喉を通り、胸を駆け抜けて、お腹の奥に落ちて行く。体の芯が冷えるような感覚を認めてから、わたしはまた口を開いた。


「――ミナ先輩は、何かを隠そうとしている。

 だから『天使を視た』なんて言って、本質から遠ざけようとしているんじゃないだろうか」


 少なくともわたしには、ミナが本気で天使を視たと言っているとは思えなかった。あの目撃証言はあまりに淡々としていて、聞く者に訴えかけようという意志すら感じられなかったからだ。


「天使の目撃自体があね先輩の作り話だと?

 しかしわざわざ拵えるにしちゃ、些か唐突過ぎやしないかい?」


「この学院じゃある程度の説得力はあるだろ。話を聞けば、誰だって福音書を連想する」


「――それは、そうかも知れないが」


 少々強引だっただろうか。神代は納得がいかない様子で口を真一文字に結んだ。とはいえ、前提の段階で足踏みしていても仕方がない。


 グラスを机上に戻す。手のひらの感覚が、冷たさで鈍くなり始めていた。


「実際、神代の感想も当然だと思うよ。何せもっと手っ取り早い方法があるんだから」


「? 一体どういう意味だい?」


「言っただろ。本質から遠ざけようとしているって。

 手が込み過ぎてるんだよ。。そのくせわざわざ処女懐胎なんぞ引用しやがって。

 生理不順――いや、体調不良を幻のせいにするだけなら、少女Sを視たと言う方が余程都合が良いじゃないか」


 初めから不思議に思っていた。妊娠を否定したいなら、処女懐胎に見立てた証言は逆効果だ。実際に生理不順があったにしろ、あるいは天使を視ていたにしろ、隠しておくべきだろう。


 それに、単に体調不良の理由付けを行いたかったとしても、それまで噂されていなかった天使の目撃談を創作するより、少女Sの呪いのせいにしてしまう方がずっと簡単だ。


「――じゃあ、姉先輩は何のためにそんな話を?」


 ゆっくりとした口調で、神代が疑問を差し挟む。まだ筋道を吟味しているようだが、問い自体は尤もで、同時に予想の範疇でもあった。


「仮に、ミナ先輩が何かを隠す目的で偽証しているなら、彼女は敢えて一番簡単な方法を避けたことになる。

 ――だとすれば、ミナ先輩が隠したいのも多分だろ」


「姉先輩が幻視していたのは、天使じゃなくて少女Sだったと言うのかい?」


 結論を急ぐ神代が、さらに仮説を推し進めた。しかし、それはそれで短絡的に思える。


 机の上のグラスを軽く爪で弾く。中で積み上がっていた氷塊がカチャリと音を立てて崩れ落ちた。いつのまにか溶け出して、隙間ができていたようだ。


「さてな。

 生理不順は事実みたいだし、そこの関連が分からないと、結論も出せないだろ。

 一応訊いておくけど、ミナ先輩が三月中に学外に出たって話はあるか?」


「――妹先輩が疑っていた件だね。

 何度も言うようだが、拙には大した権限はないよ。生徒が出入りしたかどうか、正確な記録を当たることはできない。治療や診断のために外出を許されている子もいるから、学院もプライバシー保護にはかなり神経質だ。

 姉と仲の良い生徒にそれとなく確認した範囲では、変わった話もなかったが――姉先輩自身、元々欠席の多い人だからなぁ。所属している美術部ですら幽霊部員らしいし。

 春休みは、帰省している生徒も多いしね」


 焦りを自覚し出したのか。神代にしてはゆったりとした、一言一言、自問しているかのような口調だった。


 碓氷末奈がミナの外出を疑っていたのも三月だ。神代も言うように、そもそも学院から人がいなくなる。寄宿舎に残っていたのも半分だっただろうか。

 

 だからこそ周りにも悟られずに外出できたかも知れないが、結局のところ確証はない。

 

 ――とりあえずはこんなところか。


「邪魔したな。三月中のミナ先輩の動きが分かったら教えろ。

 わたしは別のやり方を考えてみる」


 少々卑怯な手だが、まひろを使色々と分かることもあるだろう。


 そんなことを考えながら、離席しようとして、


「――おい、どうした?」


 わたしの意志に反して、上げたはずの腰が、再びストンと椅子に収まった。体を支えようと机についた腕も、小刻みに震えている。


 神代が席を立ち、わたしに駆け寄ると、手のひらをわたしの額に押し当てた。そのひんやりとした感触で、わたしもようやく自分の状態を理解する。


「貴家、君――熱があるじゃないか」


「――だろうな」


 通りで先ほどから体が火照るわけだ。


「済まない、気づかなかったんだ。

 てっきりその――仮病かと」

 

「謝るな。

 わたしも、そのつもりだったから」


 珍しく狼狽えた様子の神代は、見ていておかしかったが、実際に笑ってやる余裕はない。


 わたしのちょっとした体調不良は、気のせいも同然の仮病であるはずだったのだが――振り返ってみると、思い当たるフシはいくつもあった。


 先日の怪我で、学院と街の病院を行き来して睡眠が不規則になったり。深夜に出歩いて雨に濡れたまま帰ったり。


 加えて連日の不安定な天気だ。根を詰めていたせいか、自分の虚弱さをすっかり失念していた。


 そう後悔している間にも、ぐるぐると視界が転回し、上体から崩れ落ちそうになる。


「すぐに先生を呼んで来る。少しの間、待っていられるか?」


 神代の声が、いやに遠い。目の前が明滅し、自分がどんな体勢にあるのかもよく分からない。わたしの腕は、まだちゃんと体を支えているだろうか。それとも既に、わたしは椅子から転がり落ちているだろうか。


 ――すぐそばで、亡霊の笑い声が響いた。


「さっきは、どこにもいなかったくせに」


 自分の呟きも、もうよく聞こえない。


 それでも、熱で霞んだ視界の向こうには、確かにあの輝く二つの瞳があった。

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