即死したストーンズ

「生きてたかドゥブルー!」


「あたぼうよ。誰がお前らを助けてやったと思ってるんだ」


「なるほど、どおりで生きてるわけだ。ここはどこだ?」



 ドゥブルーと呼ばれたゴブリンは、戦闘中のように眉間にシワを寄せて地図を取り出した。


「お前らが撃たれてた場所からそう離れちゃいねえ。ここから東の集合地点までは半キロくらいだ」


「戦況は?」


「どうだかな。飛行機の奴ら、てんでばらばらに俺らを落としやがったもんだから。集合地点に皆が集まってるのかどうかさえよくわからねえ」


「わかった。じゃあとりあえず皆をまとめて歩くか。負傷者は?」


「幸運にも衛生兵が3人も集まってたからな、問題ねえ。即死したストーンズくらいだよ」


「そうか……」


 ローラインは口元をぎゅっと噛み締めた。知っている人間だったのだろう。そしてそのストーンズというのは、きっと僕が拾ったヘルメットの持ち主だ。



 会話を終えると、ドゥブルーは大声で叫んで全員を集め、あのドブ池を渡って一直線に集合地点に向かうと告げた。集まった10人ほどの兵士達は、文句も言わずにそれを聞くと歩きだす。



 それがあまりに素早かったもので、僕はすっかり感心して、彼らについていくのも忘れて眺めてしまった。そうしていると、イオの声が耳元でこだまして僕を呼びつけ、僕は走って列に加わったのだった。

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