RPD

 ざっとあたりを見回すと、ちょうどいいサイズの機関銃が放って置かれていた。


「なんで誰もコレを使ってないんだ!」


 足がコツンとなにかに触れた。それは銃弾を受けたであろうヘルメットだ。思わず手に取ると、べしゃべしゃ、と何かがこぼれた。それが血と肉片であることに気づいた僕は、全てを察して機関銃を手にとった。しかし、グリップを握って引き金を引いても、うんともすんともいわないのだ。


 よく見ると、弾倉がない。



「クソくらえ! イオ! これどうやって撃つんだ?」


 そう叫んでみるものの、イオは伏せてライフルを撃ちながらかぶりを振った。余裕がないのか、わからないのかもわからない。


「これはこうやって撃つんだ! 訓練でやらなかったのか!?」


 ひげを蓄えたゴブリンが、そばに転がっていた数珠つなぎになっている弾をひっつかむと、機関銃の蓋を開けて弾を挟み込み、閉じた。それから右横から突き出た棒を引く。


「こうだ、わかったか! わかったらさっさと撃て! 撃ちまくって相手の気を引け!」

「わ、わかりました!」



 引き金を引いてみると、弾がでた。今までのライフルとは違う、凄まじい連射力だ。衝撃波で土手に生えていた草が、さざなみをたてて倒れる。


「俺がこうやって弾を持っててやるから、しっかり狙え! 存分に仕返ししろ! ローラインの仇を取れ!」


 ゴブリンが銃弾を手に持って流してくれた。そんなことしなくたって大丈夫なように思えたが、言うことに従っておくべきなんだろう。

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