合流

『何やってんの! 彼らは衛生兵だって! それよりこれをあっちのオーガに伝えて!距離220、方角66、高さ3.2!』

「あっちのオーガって誰だよ!」

『あんたのすぐ後ろの土手の影!』



 すぐさま土手から滑り降りる。そこには傾いた水道管みたいなものと、それにペットボトルサイズの砲弾を落とし込むオーガが二人いた。イオがどうやってそれがわかったか知らないが、とにかく僕はさっきの数字を伝えた。


 オーガは数字を復唱し、広げてあった地図とコンパス、それによくわからない数字の羅列された表を月明かりに照らして見ると、僕の方を向いて「もういい」「当てられる」と笑いながら言う。凶暴な牙がずらりと並んでいて、サメの歯を思い出し、半ば逃げだすように元いた場所に走った。



 ローラインは開腹手術を受けている真っ最中だった。信じられない、土手の真上で! こんなところでやったら感染症やらなんやらがあるんじゃないかと疑わずにはいられない。そもそもこれだけ銃弾が飛んできているのに、いかれてる!



『前田! 前の陣地を黙らせるから早く銃を取って!』

「つったって余ってるものなんて……」

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