最終話 NO enemy the HERO

 バトルは終わった。

勝敗は正直わからねぇ、俺はどうなった?

死んだんだっけか。

ならここは、天国か、そうか、天国か。


『‥スター様』

どこからか声がする。


『パワー・スター様』

俺の名を呼ぶ声、お迎えか?


『目をお開け下さい』

目を開けろ、開けていいのか。


「‥開けるぞ?」

なんだここ、真っ白だ。

やっぱし天国か。白いんだな、天国は。


『スター様。私です、ロウディです』


「ん、ロード?

お前天国で何してんだ。」


『天国?

違います、ここはバトル施設のロビーで御座います』


「ロビーって‥何でこんな所に。

俺は死んだんじゃねぇのか?」


『…奇跡的に、生存した模様。

貴方に被害が及ぶ前に、アシスターが焼き切れたのでしょう』


「焼き切れた?」


『はい、そして相手を無くしたフィールドは強制的に元の場所へと戻った』

最後の抵抗をしたアシスターは己の身を焼き払い自滅、強制的にパワー・スターが勝者となりロビーへ帰還した。


「お前は何で無事なんだよ?」


『‥解りませんが、恐らく貴方が勝者となる事で、アシストである私も事なきを得たのではないかと。』


「棚からナントカって奴か、良かったな。」


『はい。ですが、一つ言い忘れていた事がありました。とても重要な事です』


「なんだ、俺にかよ?」


『はい、実はキャプテン・レジェンド様が悪を身に宿した事で、皆様ヒーローに対抗する力を分析すると共にもう一つ、新たなモノを作り出していたのです。』


「新たなモノ?なんだソリャ?」


『悪意を持ったヒーローとは真逆の者、つまり悪役の存在です』


「そんなもんまで作ってやがったのか、お前らは。」


『彼等は悪意という概念から生み出された者故私達の分析による戦術も効きません。一番厄介な事が‥』


『それが多量に増殖し、施設の各フィールドに無数に出現している事です』


「無数に出現だぁ!?」

施設は最早ヒーローバトルどころでは無い。悪の組織のアジトと化している


『如何致しましょう?』


「ロード、俺の参加理由覚えてるか」


『強大な悪と、戦う。』


「そうだ」


『やってくれますか?』


「‥あぁ、転送しろ」 『了解』


『転送』


正義はついえない、ならば悪も蔓延り続ける。切り続けても絶えない。

正義は戦い、悪は滅ぼす、永遠に。


「着いたか

さぁて、どこにいやがる?」


「グハハハ!

この俺が全てを支配するぞ!」


「てめぇか、暴れやがるのは。」


「グハハハ!

この俺に逆らう気かぁ!?」


「あれお前、どっかで見た事あると思ったらガイアークの筆頭!

名前は確か、えっーと‥モ、モー‥」


「モルデウスだ!

貴様、もしやパワー・スターだな?

良い機会だ、お前から支配してやる」


「やってみろモルデウス!

俺に勝てんならな!」


「ぬかせ、誰が負けるか!」


「そうかよ。」 「おうともぉ!」


「じゃあ行くぜ、モルデウス。」


「来い、ゲイティ」


『充分に用心して下さい』


〈モルディ・クローズ〉


〈スター・ライトパンチ〉


ヒーローは、今日も悪と戦い続ける。

     END

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NO enemy HERO the PAIN〜敵を失った英雄達の傷跡〜 アリエッティ @56513

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