ナツゾラ*デイズ

RiOS(EIKOH)

果てなき碧(あお)、銀翼(ぎんよく)の双蝶(そうちょう)

◆プロローグ◆

Prologue: 目指した彼方(そら)へ、もう一度

規則正しい機関音が響く。


振動に身を委ねながら、離陸許可の瞬間ときを待つ。


第3Run滑走路上way03is障物なしcleared、離陸for可能ですtakeoff.


 離陸準備に入る。

 試合開始は、もう間もなくだ。




 娯楽としての空戦——―

 俗に"模擬戦闘もぎせんとう"なんて言われている、第二次大戦期を駆け抜けた歴戦の戦闘機を使った空中競技。


 その競技における頂点とも言える大会——"模擬戦闘会"。

 これが、俺にとっては2年半ぶりの表舞台だ。



 澄みわたるあおに、想いを馳せて。

 操縦桿そうじゅうかんを握りしめた。


 嫌が応でも気分が高揚する。久々の感覚だった。


「俺――、また飛ぶんだ」


 選手を辞め、空を翔ける夢を捨ててからというもの、曇っていた視界。

 操縦室窓キャノピーを閉めていても感じる2翅からの風圧は、その曇った視界を晴らしてゆく。



 すべてはあの日―――


 「すばるっ! 私、昴とじゃなきゃ駄目なの!」


 幼馴染、椎野しいの 結花ゆかの、この一言から始まった挑戦。


 ―――俺たちの夏が、始まろうとしていた。

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ナツゾラ*デイズ RiOS(EIKOH) @rios-235

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