書いている最中の作品を分析する!

計量テキスト分析が役立つのは、

書き終わった小説を振り返る時だけではありません。


書いている最中の小説だって、

分析することが可能です!!!


「!」を3つも使うほど大したことじゃないんですけどね。



これまで紹介した分析方法を用いるのであれば、

・共起ネットワーク図

・クロス集計

が役に立ちます。



各エピソードの共起ネットワーク図は、

小説を書いている最中には参考になります。


どんな語が共起関係にあるかっていうのを、

じっくり見てみることで、

今後の執筆に役立てることができます。



たとえば、

「AとBが共起関係にあると思ったのに、線で結ばれていなかった……」

なんてことがあります。


そうしたら、

今ある文章をいじったり、新しく文章をいじったりして、

想像どおりの共起関係を結んでみる。

なんてことができます。



ぶっちゃけ、それをやったところで、

評価されるかされないかが分かれるわけじゃないとは思うんですよ。


ただ、

機械の単純な分析でもわかるほど、はっきりとした傾向がある

=読者が斜め読みしても、関連性に気付きやすい

ということは言えるんじゃないかっていうのが、私の考えです。



つまり、

複雑になってしまった文章や、

とりとめのない文章を、

よりシンプルな形にするのに役立つのではないか?


と私は考えています。



極端なことを言えば、

似たような表現を繰り返し使えば、

そのフレーズ内の語は共起関係で結ばれますし、

読者だってその繰り返されるフレーズが重要だと嫌でも気が付きます。


これを良しとする作者もいれば、

センスの無い表現と断ずる作者もいると思います。


ですが、

エンターテイメント性重視の小説であれば、

わかりやすさ・シンプルさ、というのは重視されても良いんじゃないか、

っていうのが私の意見です。


ウェブ小説だと、

さらさらっと流すように読むこともあり得ますしね。


なので、

伝わりやすいシンプルな文章したい、

という目的においては共起ネットワーク図が便利です。



ちなみに似たような指摘は、

アメリカのベストセラー小説について調べた、

「ベストセラーコード」

という書籍でもされています。


とっても面白い本なのでオススメです。

この本についての詳しい紹介もそのうちしたいと思っています。




そしてあくまで私の経験則なんですけども、

共起ネットワーク図で

・多様な語が出現している

・複雑なネットワークが出来ている

という特徴のある小説の方が、

読んでいて楽しかったです。



多様な語が出現しているというのは、

一見ストーリーに直接関係ないような語が登場する、

と言い換えてもいいと思います。


説明ばかりの小説は退屈です。

そして設定の説明ばかりになっている場合、

設定に関する語ばかりが共起ネットワーク図にも現れます。


私は特に名詞に注目します。

要するにモノですね。


特定のシーンを象徴するモノ。

登場人物の心情を代弁してくれるモノ。

作品のテーマの比喩となるモノ。


そういった、直接ストーリーに関係するわけじゃないけど、

物語の重要な味付けになっているモノ。

それを豊富にしたいなあと私は考えて、自分の作品の分析では名詞に注目しています。



そして共起ネットワーク図では、

1つの単語が3つや4つの単語と結びついていることがあります。


そのように複数の語と結びついている語が多いほど、

複雑なネットワークだと言えると思います。


ぱっと見でも賑やかで楽しい感じです。

この「ぱっと見の楽しさ」も、私は大切だと思っています。


これも文章のシンプルさにつながっていると考えられます。

具体的には「使用する語が少ない」というシンプルさですね。


使用する語が少ない

=1つ1つの単語の登場回数がほどほどに多くなる

=他の語との共起関係が生まれやすい


というイメージです。


逆に使用する語が多いと、

1つ1つの語の登場回数が少なすぎて、

そのせいで共起関係が生まれにくくなってしまうのではないか、

と想像されます。



一般に、語彙は多い方が良いとされていますが、

過度な語彙は小説を読みにくくすることもあるようです。

(これも「ベストセラーコード」の受け売りです)


もしかしたら、

「どのくらいの語彙で書きたいか?」

ということを意識するべき時代が来たのかもしれませんね。

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