第6話 夜の街

 沙羅は、日々、夜の街を歩いた。平和とは何かを知るために。


 生まれ育った国と違い、夜になっても明かりが途切れることはない。眠らない国で、この国の人々はどう夜を過ごすのだろう。


 夜、怯えて眠れない人がいる。

 夜、楽しみを求め眠りたくない人がいる。


 これが、祖国に将来もたらされる平和なのだろうか。ただ、静かに眠る。それだけで充分ではないのか。


 夜の街に、人通りの少ない一画があった。

 

 大通りから一本入った、その場所は、いわゆるラブホテルと呼ばれる建物が立っていた。そして、その建物から一人の少女が出てきた。


 美希だった。

 美希は沙羅を一瞬見つめ、何も言わずに去っていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る