二章 4 黒獣

※WARNING※

この章は、現在、修正を行っています。

ストーリーを早く知りたい方以外は、お待ち頂くことで、より一層、お楽しみ頂けるかと思います。


 ダルクがミスズに呼ばれた後のバルは、本来の営業時間を待たずして帳を降ろした。

 客が出払い、にぎわいを見せていた空間が夜の一部となってしばらく、従業員の通用口から一人の女性が出てくる。

 酒を飲むダルクの相手をしていたバーテンダーであるセラだ。

 片づけをしていたのだろうか、手に持つ鍵束から通用口の鍵を見つけて、鍵を閉める。

 彼女はバーテンダーでありつつも、鍵を任されるほどの、店ではダルクの次に偉い立場にあるのだ。

 今日の閉店も、彼女の独断である。

 その訳は、彼女が所属するガート・ファミリーにあった。

 ガート・ファミリーでは、全構成員がボスであるガート直属ということになっている。

 ただ、やはり、構成員同士では、年数で何となく部下、上司というものが出てくるのだが、ガートの前では全員が対等ということになっていた。

 つまりは、上司はガートただ一人と言う組織形態が取られているのだ。

 そのため、実質的上司からの業務や依頼があろうとも、ガートの命令が何よりも優先しなければいけない。

 例え、直属の上司として慕うダルクから頼まれたバルの運営を無視してでも、ガートからの命令を聞かなければいけないのである。

 突然、命を受けたセラは、ガートに言われたとおり、ダルクに悟られぬよう、行動を起こしていた。

 そして今日も彼女は、夜の街へと姿を消した。

 全身を黒い服と布で覆って──

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る