第21話 罠

「奴らは、北の高原に向かっている。このまま行くと、今日の夕方にはこの先の草原に到着する。

草原に入ったところで、奴らを襲撃する。森の中でリスを仕留めるのは至難の技だが、草原のリスなどネズミのような物。必ず、仕留めるよ!」


野犬達に向かって、赤い眼のイタチが命令している。

「いいかい、作戦はこうだ、まず、ブラックチームとホワイトチームに分かれる。

まず、ブラックチームが奴らが森に戻れぬように背後から襲撃しろ。そして草原の中央に誘導するように、思いっきり吠えながら追いかけ回せ。


奴らは、反撃するために必ず、戦いの足手まといのリスと別れ、イノシシを単独で反撃をかけてくるだろう。


ブラックチームはイノシシを無視して、リスを追いかけて仕留めろ。


ホワイトチームは全力で私を守り、イノシシの目の前に私を連れて行くのだ。


私が特殊能力でイノシシの動きを止めるから、ホワイトチームは、そのまま動けなくなったイノシシを殺せ。それで、私たちの完全勝利だ。草原に先回りだ!」

ザッと向きを変え野犬達は草原に向かった。


移動しながらも野犬達はコソコソ話し合っている。

「なんで、俺たちイタチに指図されてんだ?」

「そりゃ、金チュウチュウ様の命令だからな。」

「金チュウチュウ様のお陰でこうやって、文化的な生活ができるんだから、ありがたく思わなくっちゃ。」

「ハムスターや、イタチに指図されるのが文化的なのかねぇ。」

「シッ!滅多な事を言うもんじゃないよ。金チュウチュウには、熱烈な信者か患者がいるそうだから聞かれたら大変だ。俺らは俺らの仕事をやるんだ。」

野犬達は草原に向かって走って行った。


一方、メラ、メイチ、ドトウ、カイトの一行は待ち伏せされているとも知らずに意気揚々と樹海を目指して進んでいた。


そして、いよいよ草原にやってきた。

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