第15話 なんとかなる・・・・・かも


「大丈夫だよ、姉ちゃん、こっちにはドトウがいるし、きっともうすぐ鹿じいにも追いつくよ。それに、キュウビやガラキがどこかで見つかれば、こちらの事は忘れるよ。きっともう来ないって。」


どうせ悩んだって、自分で変えられる状況ではない。

もう、流れに乗って、問題を解決していくしか無いのだ。

覚悟を決める事でメラの気持ちは少し落ち着いた。


「ところで、カイトさん。北の高原に行く道って知ってる?僕らずっと北に向かってるけど、場所がよくわかんないんだよね。」


カイトはまたびっくりして、質問してきたメイチを見た。


「北の高原には僕も行ったことはないけど、向こうに見えている、台形山の麓にあるらしい。

でも、周りには迷いの森があって、正しい知識と正しい行いをしなければ到達できないって言われてるよ。

もしかして、みんな知らずに、あんなに遠くからやってきたの?」


メラは知らんぷりで空を見上げている。


ドトウも聞こえぬふりをして、地面を見ながら歩いている。

「そだよー、みんな北に行けば何とかなるって、軽く考えてやってきたんだ。ドトウは最初に北を向いたら一直線でそれが男の生き方だって言うし、姉ちゃんはドトウ以上に猪突猛進だし、このままじゃ、北の高原の横を通過して、北極まで行って、寒さに震えるんじゃないかと心配してるんだよ。」


ドトウとメラの姿勢はあまり変わらないが、ドトウの耳は後ろに、メラの手はグーに握られている。


「本当に、考えるより先に、行動する人たちと一緒に旅をすると、苦労が多いんですよ。」


険悪な雰囲気は頂点に達している。


「あの〜、メイチくん、君ももっと周りの事を気にして喋った方が、、、、」


「大丈夫!あの人達、進むことしか考えてないから、全然聞こえて、、、、、」


「いるぞ!」メラとドトウが声を合わせて、強烈な二人のキックが同時にメイチに見舞われた。


メイチの身体は空高く舞い上がって行った。


空高くからメイチの声が聞こえた。


「だから考えてから行動〜」


メイチが意識を回復するまでしばらくかかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る