目指せ北の台地

第14話 誰の命令

話は野犬と戦った後に戻る。。。。



「そんなことがあったんだ。」

ドトウの背中に揺られながら、目をまん丸にして、カイトは聞いている。


「普通なら不可能な状況でも強化動物の力なら、可能なのかもしれない。」

相変わらずメラは深刻だ。

「でも、研究所は潰れたんじゃないの?」

「それじゃ、なんでカイトを無視して、私だけ狙われ続けたの?」

「カイトは食べ物としての魅力に乏しいんだよ。ほら比べてみてよ。このお肉のつき方。」

ガン!メラはメイチの暴言を拳骨で排除した。


「所長以外の誰かが命令してる?でも、きっと目的はキュービとガラキだよね。今日、追いかけた匂いの主がメラとメイチってわかったんだから、犬達が報告して諦めないかな?」


メラは考えた。

嗅覚強化の犬で、伝えられるかな?せいぜい主語は自分で述語くらいが精一杯かも。

目的語まで話したり記憶できるだろうか?

多分、目的まで覚えることができたらメラやメイチを攻撃するわけがないし。

きっと、目的は忘れてたんだろな。

元の命令が「この匂いを追跡して、キツネかタヌキだったら、倒してこい。」

だっったとして、野犬達の頭の中では、「匂い、追跡、倒してこい」になってしまったんだろな。

そうだとすると、「俺たちは、匂いを追いかけて、匂いの正体を発見しました。正体はリスだったけど、攻撃して、失敗しました。」って報告はまず期待できない。

きっと「俺たち匂い見つけた、だけど攻撃失敗」になってしまわないかな。

そんなの所長が聞いたら最悪だ。きっと、キュウビとガラキと戦って負けたと勘違いするに決まっている。

最悪だ。

みるみるメラの表情が曇っていく。

「あぁ、最悪だわ。。。。」

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