第12話 窮地

近づいてきたドトウの背中にメラとメイチが飛び乗った。


「どうして、金チュウチュウについて行ってないアンタが、まだこんな所をうろうろしているの。もうとっくに街から出てると思ったのに。」


「鹿じいと一緒に街の端っこまで来たんだけど、川で先に進めないから橋に向かってたら、パトカーにみつかってよぅ。仕方がないから、俺が囮になって鹿じいを逃したわけ。鹿じいが悠々と橋を渡ってる姿は遠目に見えたんだけどさぁ、そこまではいいんだ。ただ逃げ回ってるうちに方向がわかんなくなって、お前らに出会ったわけよ。」


「それじゃ、今は闇雲に走ってるだけね。」


「おうよ!その通りだ・・・」


メラはやれやれと思いながら逃げ道を考えた。


「そこ右!」ドトウはメラの指示通りに右に曲がった。

「次、左」「そのまま真っ直ぐ」次々とめらの指示がでる。


車が通れない細い通りに入り、パトカーを振り払った。

細い通りを抜けると、川沿いの道に出た。

大きな船が川を進んでいる。

大きな船を追い越し、どんどん走っていくと、やがて大きな橋が見えてきた。


橋は、船が来た時に通れるようになっている跳ね上げ橋だ。


船が近づいて来ているので、橋の入り口は通行止のゲートが既に降りている。

橋も音を立てて動き始めた。


背後からはさっき振り払ったパトカーがドトウを見つけて追いかけて来た。


跳ね上げ橋はドンドン上がって行く。


追い詰められた。


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