連絡

 それから数日後。

 マカはミナと放課後、駅前の雑貨屋に遊びに来ていた。

 可愛い小物を手に楽しげに話していると、ふと携帯が震えていることに気付いた。

「あっ、ゴメン。ちょっとメール見て良い?」

「良いよぉ。あたし、向こう見てくるねぇ」

「うん、あんまり遠くへ行かないようにね」

 ミナが笑顔で向こうへ歩いていく。

 するとマカは真面目な表情になり、携帯を開いた。

『お待たせしました。例の事件、少々分かったことがありますので、近日中にでも当店へお越しください』

「分かったのか…」

 呟きは誰の耳にも入らない。

 携帯を閉じたマカは、深く息を吐いた。



「…で、分かったこととは?」

「はい…。あまり良い話ではないことを先に言っておきますね」

「と言うことは、やはり同属だったのか?」

「ええ。しかも私の勘も捨てたものではありませんでしたよ」

 店主は苦笑し、マカに緑茶を差し出した。

 マカは受け取り、一口啜る。

「まあ無謀だとは思ったんですけどね。長に直に聞いてみましたよ」

「長に?」

 マカの眼がつり上がる。

「はい。商品関連の方達は守秘義務がありますからね。依頼で作られた物なら尚更です。なので長に聞いてみたんですが…」

「しゃべったのか? あんの古狸」

「ふるっ…! …マカ、実の祖父をそう呼ばずとも」

「言うなっ! 忌々しい」

 マカは吐き捨て、険しい顔になった。

 店主は深くため息をつき、話し出した。

「一応は話は伺えましたよ。けれど、…ちょっとどころの厄介騒ぎじゃないみたいです」

 そして語り始めた。


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