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 それから後のことは話すまでもないだろう。


 例の畑に警察の手が入った。畑から人骨が出たらしい。そんな噂が広まり、捜索の日は畑の周りに人だかりができた。わたしは無数の視線を浴びながら、警官に男の子が穴を掘っていた場所を指示した。その日は大雨だった。すべてを押し流すような大雨。レインコートを着て近くの交番からやって来た警官は不機嫌な様子を隠さなかった。最初は傘をさしながらこの見世物を観覧していた人々も、遠くで雷鳴が聞こえはじめると徐々にいなくなっていった。


「このあたりだと思います」


 わたしは男の子がいた辺りを指差した。


「特に掘り起こされた形跡はないねえ」


 警官は不審そうに言った。男の子はどういうわけか発掘作業を終えるたびに土を元に戻しているらしい。畑の土だから掘り返しても後は残りづらい。


 これが何かの冗談だったら。そう思うと落ち着かなかった。あの男の子と友人がグルになってわたしをからかっているのではないか。そんな非現実的な可能性も頭をよぎった。もしそうなら、わたしは明日からこの近所の笑いものだ。それだけならいいが狂人と思われるかもしれない。


 警官が土を掘り返すのに用意したのは、大型のスコップだった。それを地面に繰り返しつきたて、湿った土を抉り取っていく。


 ざく、ざく……


 黒い土。


 ざく、ざく……


 穴が深くなる。土を積み上げた山が高くなっていく。


 ざく、ざく……


 骨が見つかってほしいのか、そうでないのか自分でもわからなかった。


 ざく、ざく……


 やがて、白いものが現れはじめた。

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