第20話 許せない



「許せない! お前だけはっ、絶対に許せない!!」


 よくもシオンを殺してくれたな。


 その時は、恐怖よりも怒りの感情がまさっていた。


 この憤怒が、大切な人を理不尽に奪われたこの感情が力になるのなら、今すぐにでもあの邪神を殺してしまいたい。


 でも、現実問題それはできなくて。


 俺は、自分の無力に一番怒りを感じていた。


 魔人は、光の攻撃を再度こちらに放ってくる。


 今の俺には、どんどん迫ってくるその光から、逃れる術すらない。


「しおん、しおん、しおん。くそぉぉぉ!」


 けれど、救いはもたらされた。


――条件の解放を確認。運命改ざんスキルを発動します。


 次の瞬間、俺の意識はまるで糸が切れるかのようにブツリと途切れた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る