第17話 再びのキルトス



 屋敷に戻ると、父も母もいなくなっていた。

 無断で出ていった事がばれてメイドたちに怒られたが、それにしては咎め方が控えめだった。


 他に何か、気になる事でもあるようなそぶりを見せている。


 両親の行方をメイドたちに聞いてみるが、彼らは悲しそうな顔をして何も言わない。


 無理やり聞くという手もあるが、彼らの顔を見ると、そんな手段をとる気にはなれなかった。


 推測するしかないが、魔人関連で何か問題がおこったのだろう。

 それに対処するために、この屋敷を出ていったのだ。


 ただの子供である自分は、ここで待っている事しかできない。


 だが……。


「なっとくできるか」


 大人しくしているふりをして、部屋を再度抜け出す。


 屋敷で余っていた馬車を何とかみつけて、頭のよさそうな馬にひかせる。


 いう事を聞いてくれなかったらどうしようかと思ったが、俺が必死に頼み込んだら大人しく動いて連れていってくれた。


「ありがとうな。あとでおおめにえさをもらえるよう、たのんでおくよ」


 それでも勝手がわからず、馬を進めるのにはずいぶん時間をかけてしまった。


 先日の倍の時間をかけて、俺はキルトスの町へ向かう事になった。


 でも、俺は目的地までたどり着けなかった。


 なぜなら……。


「なっ、なんだよこれ」


 キルトスの町があった場所は、焼け野原になっていて。そこにはまがまがしい魔人が立っていたからだ。


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