第21話　目を覚ましたデイ

　廃城にとらわれた二人。リアナは自由に動けるが、体格のいいデイミオンはがっちりと手錠＋縛めつき。

　そんななかで、目を覚ましたばかりのデイは、リアナに竜術と〈呼ばい〉を教えこむ……。

　今読みなおすと、デイミオン、いいやつだ。リアナとは王位を狙うライバル同士なのだから、わざわざ教えず放っておいてもいいのに。

　この回は、竜術と〈呼ばい〉を無理なく説明するために（そしてリアナに習熟してもらうために）用意したお話でもある。

　もともとは、王城に入ってから、メドロート（北部領の領主で、リアナの大叔父）とサラート（家庭教師）に教えを受ける、という流れを考えていた。

　ただ授業形式でなにかを教わるというのが、読んだときに「面白い」と思ってもらえる自信がなかった。（というか、それ自体を面白く書けるほどの文章力はないなと思った）　そして、どうせならイケメンに教わりたい乙女心。

　囚われの二人にきゅんきゅんしてもらいつつ、この危機を二人で脱出するために竜術を覚えようとリアナががんばってくれれば、読者も続きが気になってくれるんじゃないかなというふうに思い、こういうエピソードができた。

　まだくっついていないカップルはかわいい。俺様王子様なデイと、なにかやらかしそうなお転婆なリアがぽんぽんと言い合っていて、二人の中では「言い合っている」んだけど、はたから見てるといちゃいちゃしているようでもあり。第四部では結婚十年目の夫婦な二人を書いているので、よけいにそう思うのかもしれない……。

　今読み直すとかなりあっさりと習得しているので、竜術についてはもうちょっと書き足してもいいのかなと思わなくもない。

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