第6話 空の向こう側に

いきなりの休日の朝空港のカフェでコーヒーを飲みながら飛行機を見る。

だんだん人も増え昼間の賑わいに変わっていく空港。

外は雲がかなり減って太陽の光が辺りを照らしている。

お一人様だった窓際のカウンター席にもポツポツ座る人も。

そろそろ帰ろうかと思ったその時、

カチャンッ

隣に席を取ってコーヒーを買いに行く人。

テーブルに小さなポーチを置いて席を確保したのだ。

…窓際座りたい人多いんだな。あっ?

ポーチに付いたキーホルダー。

限定ね飛行機の。

…あっ、これ?珍しいなぁ。

「あ〜!?」

隣に戻ってきた人がいきなり

窓の外をボーっと見ていた目線を隣へ。

喜一郎「???」

隣からまた

「あーっ、やっぱり〜!」

「久しぶりで忘れちゃった?」

長い髪が綺麗な…

喜一郎「あっ!!!」

「思い出した?喜一郎さん!」

いやっ、あれは夢。

間違いなく夢のはず。

そう、喜一郎は最近飛行機には乗ってないのだ。

喜一郎「???」

「わたしですよ。ミサキ。まだわからないですか?」

喜一郎「えっ、いや、あー。」

ミサキ「本当に忘れちゃったの?」

喜一郎「覚えてるけど、えっ?」

ミサキ「なんかおばけでも見たような顔。」

喜一郎「いや、そんなんじゃ…」

ミサキ「驚くわよね。また隣だし。」

喜一郎「そうじゃなくて、これ夢?」

ムギュッ

喜一郎「痛っ、イタタッ!」

ミサキ「痛いでしょ?ほっぺつねったりするでしょ。ドラマとかでは。」

喜一郎「痛い。夢じゃない。」

ミサキ「そんな驚いた?」

喜一郎「は〜。驚いてます。」

ミサキ「ねっ!やっぱり会えたでしょ。」

喜一郎「はい…」

ミサキ「久しぶりなのにな〜んかテンション低いなぁ。」

喜一郎「いや、だってあれは…」

ミサキ「わたしもね、ホントはすっごく驚いてるの。」

ミサキ「さっきホントは話しかけるか迷ったし。話しかけた時の喜一郎さんの驚き方でわかったの。やっぱりなって。」

喜一郎「えっ?どういう事?」

ミサキ「わたしと話した事覚えてるか。好きな食べ物、せーので。」

ミサキ「せーのっ!」

喜一郎「餃子!」

ミサキ「餃子っ!」

ミサキ「間違いないわね。」

喜一郎「えっ?なにが??」

ミサキ「あなたもきっとあやふやなはず。」

喜一郎「ええ。確かに。」

ミサキ「多分だけど実際は、はじめましてね。」

喜一郎「えっ!!やっぱり!」

ミサキ「実はわたし最近飛行機には乗ってないの。」

喜一郎「ミサキさんも!?」

ミサキ「でも不思議と夢じゃないくらいはっきり覚えてて。」

ミサキ「次の日急いで空港きて外見て探したの。そしたら本当に働いてる喜一郎さんがいて。」

喜一郎「僕もはっきり覚えてます。」

ミサキ「それにこれっ!」

喜一郎「それっ!」

ミサキ「夢だけど夢じゃない証拠品よ。」

喜一郎「夢でミサキさんにあげた、限定のキーホルダー。」

ミサキ「喜一郎さん夢みたのって1週間くらい前?」

喜一郎「…はい。」

ミサキ「一緒ね。」

ミサキ「きっと考えてもわからない事だと思うから考えるのやめましょう!」

喜一郎「あっ、はい。」

ミサキ「でも会えて嬉しい。夢じゃなく現実だったらって、すーっごく思ったから。」

喜一郎「僕もそう思ってました。」

ミサキ「じゃあ、2人の願いどおりになったわけだ!」

喜一郎「まぁ、そーですねっ!」

ミサキ「キーホルダーいいの?」

喜一郎「夢でも、ミサキさんにもらってほしくて。そんなんでよかったら。」

ミサキ「ありがとう!お揃いっ!」

喜一郎「夢でも言ってましたね。それ。」

ミサキ「ははっ!」

ミサキ「今日はお休み?」

喜一郎「空港着いたら同僚に休み交代してくれって。それで突然の休み。」

ミサキ「この後予定は?」

喜一郎「な〜んにも。」

ミサキ「わたしもここにコーヒー飲みにきただけなの。飛行機みながら。」

ミサキ「あのさ、いきなりだけど…」

喜一郎「もしかして、同じ事考えてる?」

ミサキ「多分。」

喜一郎「じゃー、行きますか?」

ミサキ「行っちゃいますか?」

ミサキ「せーのっ!」

2人「空の上っ!!!」





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時のカケラひとつだけ.〜空の向こう側に〜.. オッケーいなお @k160204989

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