第47話 散髪

 半年ぶりに髪を切った。

 白髪も染めた。


 今までは茶色に染めていたが、何十年ぶりか…黒髪に戻した。

 違和感が凄い。


 長かった髪が短髪になり、黒髪になる。

 過去の証明写真と、その日に撮った写真を比べる…顔は丸くなり容姿は10年で大きく変化していると実感させられる。


 変わらないのは不機嫌そうな表情だけだ。


 10年間、変わってないのは目つきだけ…恨むような目つきだけ。


 とりあえず、もう一度…就職を考えてみようと思う。


 それがいいのか、悪いのか…今の私には解らない。


 派遣が嫌で逃げただけかもしれない。

 結局、私は逃げ惑っているだけなのかもしれない。


 短く切った髪、黒くもどした髪…それは覚悟じゃない。

 ただのキッカケに過ぎない。


 何をしても…どうやっても…どうなっても、きっと私は後悔しかしないのだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る