第46話 資格など

「来年、就職なんですけど、どこがいいでしょうかね?」

 バイト先の女子高生に相談される。

「そうだね~、資格何持ってるの?」

「簿記とかパソコンの資格をいくつか…」

「希望は?」

「大手の製造業を考えてるんですよ」

「そう…ラインなんて、いつでも入れるから、事務系目指してみたら? 製造業でも事務、管理系の部署に絞るとか、嫌いでなければ会計事務所とか試してからでも、製造業のラインは、その後でもいいと思うよ」


 私も、いくつも資格を持っている。

 で…結局、派遣で製造のラインに従事している。


 話していて情けない…


 彼女は選べる立場、私は選ぶ立場にないのだから…

 いったい、自分の30年間近い社会人経験って何だったんだろう?


 一度、つまずけば…立ち上がれないんだ…

 私の意見など求めてはいけない。

 落後者の言葉など真に受けてはいけない。


 人にモノ言う資格など私は持っていないのだから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る