第9話 物書き、芸術に関して思うこと

 私はよく、自分のことを「物書き」と自称します。それについて少しだけ思うところを。

 まず、大まかに物を書く人には二種類いると思っています。すなわち、それでお金を稼ぐ人間と書きたいから書いている人間、です。私は完全に後者ですね。

 ああ、待って欲しいです。別に前者を全否定するためにこれを書いているわけではありません。

 カクヨム等でいえば、閲覧数の増加やフォロワーの増加に尽力するタイプの方々は前者に近いのかなぁと。それ自体を否定はしません。そういう在り方も一つの物書きでしょう。

 

 さて、私が問題にしたいのは、「美学」です。

 閲覧数を稼ごうがお金を稼ごうが、誰も読まなかろうが、私にとってそれはどうでもいいことです。私が物書きを含めた芸術全般に見る最も重要な観点は、その作り手に確固たる美学があるか否か、です。文章が上手い下手とか、それすら極論どうでもいいんです。あらゆる一貫した美学は、善悪を含めた他の価値観を超越する、とすら私は言いましょう。

 無論、ここでいう美学はどんな物だろうと私は否定をしません。誰かを楽しませるために、流行を把握してそれに沿った物を書く、それもまた美学。そして私のように、私自身の思考をただ残すために書く、それもまた美学。

 ただ最後に一つだけ、私の中で絶対の断固とした否定を置いておきます。



 美学を持ぬものを私は芸術と認めません。

 そして芸術を持たぬ芸術の亡骸ほど、価値のない物がこの世にありましょうか?………

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何もない日、或る物思い 鹽夜亮 @yuu1201

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