妄言

 馬の世話をすることに決めたタイトは、すぐさま知り合いのところに連絡して難なく職にありついた。まずはボロ掃除と寝藁敷き。馬に関わっているとはいえ、タイトは少し悩む。


「こんなことが、僕のやりたいことなのか……?」




 馬に乗りたい。そう思いながら雑務を続ける。


「タイト、今日から馬のシャンプー頼まぁ。水かけんじゃねえぞ、ぬるま湯だ!」

「わ、わかりました!」




「馬、可愛いな。乗りたいな。また戦いたいな。」


 そうつぶやきながら丁寧に馬のシャンプーを続ける。




 ノボトゥルー号のシャンプーをしているとき、突然声が聞こえた。


『気持ちいいな~嬉しいな~』

「えっ!? 誰もいないぞ!?」

『ここにいるよ~』

「え? え? 馬が……喋った!?」




 馬が喋った。そう話しても、誰も信じてくれない。タイトにだけ聞こえているらしかった。

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