第8話 まさか超能力者?

「北条さまが観たい映画はこの映画ですか?」


 チケット売り場の前の今日の上映映画のリストとポスターの張り出しを見たイケメン王子様はニコッと太陽のように眩しく私に笑いながら、ソノ映画を指さした。


「あっ、当たりです」


 も、もしかしてこの人は超能力者なの?

 やっぱりただの人間にしてはイケメンすぎると思った。


「ぷっ……、はははっ」


 イケメン王子様は嬉しそうに笑った。


「あなたは超能力者さんですか?」


 馬鹿みたいだけど、イケメン王子様に私は小声でささやいてしまった。


「ふふっ。北条さまは面白い人だなあ」


 イケメン王子様は吹き出していた。

 弾ける笑顔がかわいい。


「実はですね。ちょこっと前から映画館にいるあなたを、北条さまを見かけてまして。声をかけるタイミングをさがしていたんです」


 えっ?

 えっ?


「出会った日からあなたがなんだか気になってて」


 えっ?

 ええ――っ!?


「偶然今日、北条さまにお会いできたから声をかけてしまいました」


 ええっ、嘘でしょうっ!?

 からかってる?

 私、からかわれてるのよね。

 恋に疎そうな地味っ子な素人をだますドッキリの番組の企画とか?


 ……なにかの冗談でしょう? ねえ、イケメン王子さま。

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