エンリ・エモットの転機

 セバス様に促され入った黒い渦の先には、私が今まで見た事無い豪華な部屋でした。

「モモンガ様は、その御心のままに行動して下さい。私たちはそれを全力で以ってお支えします。」

 この部屋にある机の近くで、観たこともないような服を着て、・・・尻尾がある人が机の上に置かれた鏡を見ながら、誰かと話しているようでした。その人は私たちに軽く一礼をしつつも、まだ、誰かと話しているようでした。

「皆様方の前にいるのは、デミウルゴスと言います。」

 セバス様が、名前を教えてくれました。私も挨拶しようとしましたが、

「今は我が主モモンガ様と何やら相談をしていらっしゃるようです。大事なお話と思われますので、私たちはお暇しましょう。ナーベラル。」

 そういって、この部屋の扉の近くにいた綺麗な女の人に声を掛けると。

「私は、これから御婦人方とお嬢様方をお世話するメイドを呼んできます。その間、彼女達の身を清めて上げておいてくれますか。」

「はい。畏まりました。皆さま、私はナーベラル・ガンマと申します。これから皆様方を浴室に御案内します。こちらへどうぞ。」

 そう言って、黒髪の綺麗な女の人が扉を開けてくれ、案内を始めてくれました。私は慌てて、

「よ、よろしくお願いします!」

と、声を掛けると、

「そう、緊張しなくていいですよ。」

 ガンマ様は、優しい笑顔を向けてくれました。私は促されるままに部屋を出ましたが、そこもまた部屋でした。うん、考えないようにしようとしましたが・・・、2階建てでした・・・。扉がいっぱいあります。広いです。階段が二つありました・・・。

「こちらの階段を上った先に浴室があります。皆様足元にご注意してください。」

「はい・・・、」

 えー、自分の声が非常に小さくなっているのがわかります。貴族様・・・、違います。神様に助けてもらったんでした。

 あー、階段を登り切りさらに扉を開けると、うん、知ってた。部屋でした・・・。 えー、ガンマ様に続きます、何か言っていたようですが、身体がなんか・・・こう、ふわふわしていてよく聞こえませんでした。

 で、扉を開けました・・・、脱衣所だそうです・・・。お風呂の設備の使い方を教えてもらいましたが・・・、何とか使えそうです。広いですねーお風呂ー。

「わー!すっご~い!。ひろーい!」

 私も含めて生き残った皆・・・、ネムを除いてですけど・・・、顔が引きつっていました。わかりますよー、私もそうでしょうから。

 服を脱いでお風呂に入ります。ガンマ様も一緒に入られるようで、あ、ネムのお世話をしてくれるのですか?ありがとうございます。

「お姫様みたーい。」

 ネム・・・、みたいじゃなくて、お姫様と同じような待遇よこれ・・・、知らないけど。それにしても、ガンマ様の身体はすごくきれいでした。私は自分の身体を見ます。服の形に日焼けの跡が残るこの体を見ました。はー。

「ナーベおねーちゃんすごいきれー!」

「そう?ありがと、ネムちゃん。」

 ネムはガンマ様の前に抱っこされていました頭を洗ってもらっています。ちょっとうらやましいと思ってしまいました・・・。うー・・・。

 えー、お湯から上がり体を拭き脱衣所に出ると、5人の女性がいました。私たち一人に一人ついてお世話をすると言っています。え?一人に一人?わー、ここにこんなきれいな女の人何人いるんだろうー。

 私の担当と言ってくれた人が私に服を着せてくれています。もう為されるがままです。訳が分かりません。

「では、お嬢様こちらへどうぞ。」

 そういって、私たちはこの部屋の外に出て、さっきの大きい二階建ての部屋を一階に降りて、ゲストルームという部屋に案内されました。そこには豪勢な食事が用意されていましたが。

「皆さまお疲れの様ですので、軽めの食事になっております。」

 とか言っていました。軽めですかそうですか。おいしいです。何なんでしょうこれは・・・。

 暫くすると別の女性がやってきました。

「皆さま初めまして。私戦闘メイドプレイアデスの一人、ユリ・アルファと申します。皆様のお世話をしているメイド達の統轄を任されたものです。モモンガ様はこちらにご帰還されるのに、もうしばらくお時間がかかってしまうそうなので、暫くこちらでお待ちいただけますでしょうか?」

 はい、まちますよ・・・。

「それで、私たちの主モモンガ様よりご質問を預かっております。皆様の村の方々のご遺体を祝福し天使にする旨の是非を確認するよう仰せつかっております。」

あー、えー、天使?え?天使になれるの?え?断る理由なんであるんですか?

「お願いします。」

 私以外のみんなも同じような感じの返答をしていました・・・。あー、死神様・・・、えー、モモンガ様は神様ですからね。人を天使に引き上げることも出来ますよね。ハハハ、はー。

 ・・・どうしよう。こんなにしてもらって返せる物なんてないよー。

「では、皆様方、どうぞお寛ぎ下さい。」


 ユリはこの時もう少し落ち着いたらナザリックの事を説明しようと判断をする。

 女性たちの表情があまりにも心ここに在らずと言った表情だったから。

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