第15話

「俺さ、お前が死ぬの嫌だったんだ」


……え?


そう言って、サキは首元を見せてきた。




!?

「この跡って」


「実は俺も首吊った。えへ。」


え……


「俺達高校離れただろ?私立の特進クラスに進学したんだ、俺」


それは聞いた。進学する時に。

おめでとうって言ったもん。


「でもさ、入ってからが大変で」


……


「全然授業とか追い付かなくてさ。成績も悪くなる一方だし」


……そんなこと1度も聞いてない。


「友達もいなくて、というか、ハブられてて」


……今日は友達とゲームするんだって電話で言ってたくせに。


「特進クラスって学校の最上階にあるんだけど」


……


「窓の外見ながら、死ぬ事しか考えられなくなってきてさ」


……ウソでしょ。


「首吊りしたんだよ。ここで。」


……は?!


「ほんとだよ。」


……うそ。。


「それから俺は意識がよくわからない状態になってて」


……


「気付いたらお前首吊ってたから」


……みてたんだ。


「止めないとって思った。」


……


「俺、正直死んだ事後悔しててさ……、こんなことで死んでどうするんだって思ってたんだ。死んだのか死んでないのかよくわからない状態の時に。」


……え?


「でもお前は……この世に戻って後悔してるだろ」


……そりゃ……ハンデも背負っちゃったし……


「だから、ごめん」


……


「ごめんなんて言葉でお前に許されるなんて思ってないよ。」


……っ。


違うよ……「私が選んだんだよ」

「いや、……俺が」

「私が……選んだ結果な、 のっ」


いつの間にか涙が溢れてた。

息がしずらい。


「ごめん」


サキはまたそう言う。そしてひとしきり泣いて、泣いて、泣いた。

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