第28話 In the Shaky Shack -Children-

私は人気のない森の中に

一件の小さな小屋を持っている

妻には内緒で貯めたへそくりで

こっそり買った秘密の家だ


私はそこに一人の子供を招き入れていた

レーナとはまた違う感じの子供だ


レーナの影を求めた訳ではないし

今更レーナの影を追ってもいない

それ以前にこの子はレーナに似ていない

単純に獲物として面白そうな子というだけ


招いたその子は小さな小屋の中を眺め

ボロっちい家だねと呑気に笑った

ここは誰にも内緒の秘密基地だと適当に話すと

それは面白いものだねと言って

やはりその子は呑気に笑った


私はその子に菓子と玩具を見せる

こういうものがあると誘った餌だ

私がその子に菓子と玩具を渡すと

菓子を食べながら玩具で遊びだした


嗚呼 呑気なものだ

そして愚かな子だ


これから君自身が私の玩具になると知らぬまま

呑気に菓子を食って遊んでいるとは


嘲笑を浮かべたまま

私はその子に近付き


きょとんとした顔したその子の服を脱がせ

あちこち撫で回し いたずらし始めた

きょとんとした顔したその子に対して私は

これが大人の遊びだと適当に言ったが


私は次第に物足りなくなってきた

昔の私はこれだけでシャレにならないと思え

とても愉快な気持ちになれていたのだろうが


今の私には物足りない

あの赤くて黒い罪の味が欲しい

赤くて黒い罪の味に飢えて 飢えて 飢えて


私はその子を殺した


血肉熱死 血肉熱死 血肉熱死

肉肉赤赤 肉肉赤赤 赤赤赤赤

死死死死死死死死


嗚呼 私ハ帝国ノ皇帝 オ前ハタダノ肉ダ

私ニ食ワレテシマエ 食ワレテシマエ

ハハハハハハハハ


赤い狂気がまた私を駆り立てる

赤い狂気がまた私を突き動かす


嗚呼 何度でも 何度でも 何度でも

地獄の業火のように激しい悦楽はやって来てくれる


私の脳内は全て朱に染まり

沈黙した子供はただ

朱を吐きだし続ける


私はふと気付くと

今までと同じように射精をしていた


体中の精が搾り取られる程たくさん

土砂降りの雨のように降り注いでいた


嗚呼 その子の朱と私の白が混ざり

その果てに黒く朽ちて逝く


私はその様を見ながら嗤っていた

先程の官能を脳内で反芻しながら

そして


せめてその子の名を最後に呼んでやろうとしたが

全て終わった今では もうその名すら思い出せず


気にしないことにして私はまた

死体を売春婦と同じ森の奥深くに捨て

小屋の中を綺麗に掃除して片付けた

小屋から朱の世界を見えないようにした


今回もそれでお終い


小屋の中でざっと身綺麗にしたら

いつもと同じように家に帰る

仕事先でちょっと良いことあったような

上機嫌な顔で家に帰る


家に帰るといつも通り妻子が私を迎えてくれる

教職ではない私でも やはり馬鹿にしたりしない


私はそんな良い子達にちょっと父親らしく

お金やお菓子をくれると言われたとしても

知らない人についていってはいけないと諭した

そんな私に


そんなの当たり前だよ

絶対ついていかないよ


子供達がそう言って

きょとんとした顔をしたのは言うまでもない


そう これは決して言えないけれど

知らない人においそれとついていってはいけない


その人が私のような殺人鬼かもしれないからね

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