とにかくデボラが怖い。怖すぎる。

この世の終わり。デボラを形容するにあたっては、この一言に尽きる。

デボラを終末の体言者たらしめているのは、そのスケール違いなスペックと、それを裏付ける科学的考証の賜物であろう。
しかしそれ以上に、本作が様々な立場の人物からデボラを描写した、群像劇の形を取っているのが大きいと考える。
現地でデボラと接触し、犠牲となる兵士や民間人。彼らからはその脅威を体感的に伝えられる。
また、離れた位置からデボラと向き合う科学者や政治家達からは、数値や理論をもって、動かしがたい絶望が伝えられる。
そうして多角的に肉付けされたデボラと言う存在は、決して他人事とは思えない存在感を帯びている。
この最恐の怪獣が生み出されたのは、小説と言う媒体ならではと考える。

本当に、我々の世界にデボラがいなくて良かった。
明日からは、一日一日の平穏を大切にしようと思った。
……。
……。
……、……。

しかし待ってほしい。
デボラは本当に、実在しないのだろうか?

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