2021年 8月

雑記 夏の田舎にて ~朽ちていくもの、朽ちたもの~

 前回が昨年の10月でしたから、10カ月ぶりのアップになります。


 前回は、頚椎症のその後とランの再開について書きました。

 頚椎症は、その後も経過良好で、左腕は今も全く痛くありません。しかし、今年の3月に右肩が痛くなって全く上がらなくなりました。整形外科では「五十肩」の診断。昨秋から仕事が激務になったので体が悲鳴を上げたのかもしれませんが、再開したランは再び休止になりました。痛みのピークが収まっても、5月いっぱいは、ほんのちょっとした動作で鋭い痛みが走りましたし、痛み止めの薬も服用しました。

 6月になって、ほぼ強行でランを開始。整形外科医に「肩に油を注すように動かした方がいい」と言われたからです。7月は200km走りました。


 ちなみに、その整形外科医に頚椎症について聞き返してみました。


「先生、頸椎の状態は変わらないのに、どうして腕の痛みがなくなったのでしょうか?」


「ん?それはね。虫歯と一緒ですよ」


「虫歯… ですか?」


「そう。虫歯って治療しなくても、痛くなったり、痛みがなくなったりするでしょ。それと同じで、直接処置しなくても腕が痛くなったり、痛みが治まったりする。その見極めをするのが我々医者の仕事なんです」


「・・・」


 という、私の質問に全く答えないどころか、ほとんど「放置」が医者の見極めと言わんばかりの解答に唖然とさせられました。




 今年の梅雨明けは、覚えている限り史上最速でしたが、それとともにやってきた夏は、手加減なしの猛暑酷暑の夏です。梅雨明けの速さに引っ張られて、9月の残暑もない可能性もあるでしょうが、さてどうでしょう。


 8月も、一日10km、月間200kmを目指して走ろうと思っています。

 体重は、MAXからマイナス7kgまで落ちましたが、5年前の私からはなんとプラス10kgです。あの頃も月間200km走っていましたが、同じ体重になれるイメージは全くありません(笑)たかが5年前、とも思いますが、この年代の5年前というのは相当長い期間なのかもしれません。




 本日、お墓参りに行きました。

 墓地に入ると、道端に命を全うした蝉が仰向けになって転がっていました。すでに、小さい蟻がたくさん群がっていたから、“死体として次の役目だね”と思って通り過ぎようとしたら、羽が一瞬、バタつきました。少し考えたけど、蝉を拾い上げて蟻を払って、日陰になっている墓石の上に置きました。蟻には申し訳ないけど、蟻にそこらじゅうをつつかれて苦しみながら死ぬよりもいい、と思ったからです。


 お墓の花立には、いつ供えられたのか、白っぽく枯れた仏花がそのまま残っていました。枯れた仏花を握ると、乾燥しきったせいなのか硬い木の枝のようになっています。幼い頃に遊んだチャンバラごっこや忍者ごっこの弓矢や脇差で重宝しそうな長さと硬さです。はて、うちのお墓だけか?と思って見渡してみると、黒くすすけたみたいになっている仏花もありました。そう、炭化しているのです。炭化が先なのか、白く枯れるのが先なのか、それとも、花の種類によって行き先が違うのか、わたしにはわかりません。


 お参りを済ませて、墓地を出て寺の参道を歩いていたら、「ジっジジジジっ」と鳥のさえずりのように鳴きながら数匹の蝉が私におしっこを掛けながら飛び立っていきました。どうやら、蝉は飛ぶときに筋肉を大きく使うようで、食事として吸い上げた木の汁がその拍子に出ちゃうようです。最早、締まりのない老人の身体と化しているわけです。おそらく、この数匹は、まさに交尾の真っ最中だったのに、外敵が現れたと思って慌てて逃げだした、ってところでしょう。

 土の中に1~5年位幼虫として過ごしている間にモグラなどの捕食者によって食べられたり、地上に出てからも鳥に食べられたりするなどして、成虫になることができるのは、地中にいる幼虫のうちのごく一部、と言われています。そして、定かでないながら、成虫としての命は1週間強。


 以前なら、おしっこをぶっかける蝉にいらだった私も、飛び立つ数匹の蝉を見上げながら「邪魔して悪かったな」って声を掛けたけれど、そんな私のことを意に介すことなく、別の茂みに入っていきました。

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