2019年8月

人間ドック最大の難関

 7月末は、毎年、人間ドックに行っています。今年も、また、いつもの病院に行ったわけですが、毎年、意気揚々と行くところを今回ばかりは低モチベーションで向かいました。

 というのも、6月に肋骨を折って以来、ろくに走ることができなかったせいで、ろくな数値にならないだろうと思ったからです。

 もちろん、医者は敵ではありませんが、数値が悪いと、ここぞとばかりに駄目出し、及び、他病院への紹介状、再検査の約束の取り付けと、かさになってかかってきますんでね。


 結果から申し上げますと、意外にも再検査や服薬指導がない結果となりまして、胸を撫で下ろした次第です。ま、今までも、何回か再検査やら他病院へ行け命令も全部無視してきたのでありますが(笑)そういうのがないに越したことはありません。


 ドックといえば、結果と関係なく、難関の検査が2つあります。ひとつは、採血。もうひとつが、超音波エコーの検査です。

 とにかく、肝っ玉と同じく、私の血管が細くて採血針が血管にヒットしにくいのであります。一番酷い時で、6回抜き差ししてようやくヒット、というときがありました。今回のドックでは、あっさり細い針に代えてから2回目でヒットできたので良かったです。


 もうひとつの超音波エコーですが、これはもう、本当に最難関中の最難関です。なんといっても、脇腹をあの器具で強く押し付けられたり、押し付けたままこちらが意図していない前後左右の動きを技師は行うわけで、あまりのくすぐったさにブッファッハーって吹き出してしまったことが何回もあります。

 なので、毎回、技師にはその旨を前もって伝えています。しかも、今回は、右肋骨を折ってまだ治っていないことも付け加えて、重々に「お手柔らかにお願いします」とお願いしました。

 あと…脇腹がくすぐったい以外にもまだあります。

 それは、この検査のシチュエーションや営みが、いかがわしい妄想を発動させるからであります。


 まず、超音波エコーの部屋は、技師さんがモニタを見易くするためか、蛍光灯の光量を半分以下に落としています。そんな薄暗い部屋で女技師さんと二人きりです。

 ドキドキしながら、私はベッドに仰向けになり、ドック専用のジャージの上着を首元まで上げ、下のジャージは下腹部付近まで下ろします。

「ちょっと温かいジェルを塗りますね」と女技師さんが言ったかと思うと、「ジュポジュポ」と音をさせて私の腹部にジェルを落としてエコー器具でならします。

 そして、エコー器具を前後左右に滑らしながら、

「息を吸ってくださぁい」

「はい、とめてくださぁい」

「はい、楽にしてくださぁい」

と私に言葉を掛けながら内蔵の写真を撮っていきます。


 しかし、時間が経ってくると、女技師さんの言葉の掛け方や音色が変わってきて、私の妄想も最高地点に登りつめます。

「はい、息を吸ってぇぇ、そう、ゆっくりぃ スーーーーー」

「ここで、とめてっ」

「あ、先生、そこは…」

「ううん、がまんしてっ」

「あっ…」

「はい、楽にして〜」


 私って、やっぱり、変態でしょうか(笑)

 最後の方は、もう、それが脇腹への刺激のせいなのか、妄想と現実との接点のせいなのかわからなくなるほど笑いを堪えるのに必死になってしまう私なのでした。

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