究極ふじたのたまご祭り④

その⑩ 【藤田の究極たまごまとめ】



ふじたの図鑑 『忘却の泉』


 それは、ふじた山の幻。

 星見の祭壇とともに山頂に存在する、ふじたの秘密の場所。神聖な山より湧き出でた霊水を溜めおき、夜の星々の美しい煌きでたっぷりと満たした神秘の泉のことです。この泉の水を口に含めば「願いが叶う」「幸福が訪れる」と、人々のうちで伝えられてきました。

 しかしまことの名前は、忘却の泉。一口飲むと、たちまちその日の記憶がなくなり、いつしか麓の道を歩いています。人はなぜ山に出かけたのか、山の頂で何を見たのか、ただの一片も記憶に残らないのです。

 太古より、ふじた山の大自然とそこへ暮らすものたちを守るための施しが、何かなされているかもしれません。現に、ふじた山に存在するとされている原始の森や、悠久の時姿を変えずに生き続ける動植物たちなど、それらの存在の噂は人々のうちでまことしやかに囁かれてきましたが、いまだ解明には至らないのですから。


ふじ田 ほじぬ ほじめ 妙子 寄大廊 しのさゃん しのちゃん 忍 たこ史くん 木ハム雷くん おおばくん むも ぬこ 鬼首せんせい なにかのごりら生先 ごりら ごりら もりのもりもり こなま こだま たまご ふじ田 はじぬ!(※究極ふじたの落書き)




▼ ふじた山頂、配置図(現在)


藤田藤田藤田 藤田藤田藤田 藤田藤田藤田



     ≪断崖絶壁≫


   ≪まばらな、たまごたち≫


   忍・あおば↓

       ★☆


  忘           忘

 却   ≪星見の祭壇≫    却

  の           の

   泉         泉

        ●

   松雪現在地↑


   ≪いき残りの、たまごたち≫


≪昇降機出口、鷹史・鬼頭・森屋・厳蔵・こだま≫



藤田藤田藤田 藤田藤田藤田 藤田藤田藤田



▼ 山頂にて、忍とあおばくんの会話


キラキラしのぶ「あおばくん、ここはさむいね✧。」

キラキラあおば「うん✧。」


▼ 互いの白い吐息に微笑み合う、こどもふたり


しのぶ「この山の地下にね、大きいおんせん、があったよ」

あおば「おんせん?」

しのぶ「きみを連れて行けたらな//// とりあえずさむいから、もっとくっつこう」

あおば「うん、しのづかくん」

照れるしのぶ「し、しのぶでいいよ////」

照れるあおば「しのぶくん……」


 ぴたりと寄り添うこどもふたり ▼


しのぶ「あおばくんの体温、あったかいね」

あおば「うん、しのぶくん」

しのぶ「意外な発見、さむくないね////」

あおば「うん、しのぶくん……////」



✧。**しあわせこどもの無邪気なオーラ**。✧



究極のまつゆき「……え」



しのぶ「え」

あおば「え」


まつゆき「……え?」


しのぶ「え」

あおば「え」


まつゆき「……おまえら何してんの?」


しのぶ「えっと、あおばくんと、おしくらまんじゅうてきなあれを」

あおば「しのぶくん////」


まつゆき「(しのぶくん?)あっそう あっ……そう なんだ」


しのぶ「ん?(……なんかデジャビュ)」

あおば「まつゆきくん!」


闇堕ち・まつゆき「……きらい。もう全員、きらいっ!」


▼ 走り去ってく、松雪


ふじ田「わお!」

まつゆき「わ!」


▼ と衝突する、藤田


ふじ田「あいたたたー。飛び出しキケン!」

おこ・まつゆき「バッカ! なにこの石あたま」

ふじ田「エヘヘ」

まつゆき「ほめてない! ほめてない! しかも……ふじ田……きらい!」


ふじ田「しょっく! でもまつゆきくん、つかまえたー」

まつゆき「どけよ、放せバカ、ふじた!」

ふじ田「おーい みんなー出ておいでー」


▼ ふじたの号令


鷹史「うわ、ここ山頂!? 寒っ……風つよ~!(突風)」

鬼頭「Σア! シャツ捲れる、鷹史シャツ! ムダにエロさを撒き散らすな!」

厳蔵「Σあ! こら山風っ、コノヤロッ!(グッジョブ)」


森屋「凄い……満天の星空ですね(感嘆の溜息)」


おとな一同「……」


▼ 森屋の純粋な感動に、態度を改めるおとなたち


鷹史「おじさんたち、見て。田舎過ぎて電灯のない、かがり町」

鬼頭「真っ暗だな」

厳蔵「駅前も静かですねー」


鷹史「我らの青春、美しくも悲しい、偲び川……」

鬼頭「こないだカモ泳いでたぜ」

厳蔵「腹減ったな。鴨南蛮……食いたいな」


鷹史「そして都心だ。電力アンペアはんぱねー、煌々と輝いてんなー」

鬼頭「川を挟んで、どうしてこうも発展違ぇんだろなw」

厳蔵「しかしこの閑散とした……否、長閑さこそ我らがかがり町!」

鷹史「いっときますか」

鬼頭「いっとくか……」

厳蔵「かがり高校OB、+@による……」



♪ かがり高校・校歌 (無伴奏・すべて低音男声)


せーの、



♪ 1.

かがり火灯る 希望の地

集いし友よ 育む情よ

時代ときは巡りて うつろうも

種より芽吹き 若葉萌ゆ やがて花咲き満る その日まで

かがり高校 かがり高校 我が青春


♪ 2.

悠悠流る 偲び川

耐えては忍び 得ても驕らず

時代ときを越えても 変わらずや 

誠の命 慈愛の心 真澄の魂 ここにあり

かがり高校 かがり高校 我が想念


♪ 伝統の3.(替え歌)

少子化過疎化 かがり町~

税金安い 家賃も安い~

時代じだい遅れの アナログ派~

ご近所人情 お隣遠い 自然も多いよ たまに猫~ 

かがり高校 かがり高校 ちょうボロい~


以上、校歌斉唱。



だいぶ後輩・森屋「残念な三番目まで……先輩たちの世代からあったんですね」


先輩・鬼頭「誰が作ったんだっけか……」

先輩・厳蔵「いや……そこまでは自分も」


他校生(私立)鷹史「お れ だ よ ★」

おとな一同「へ~」


他校生(私立)鷹史「う そ だ よ ★」

おとな一同「へ~」


▼ かがり町民の通常運転ノリ


他校生(公立)こだま先生「わ、わー……」


▼ ノリについていけず拍手だけしとく、こだま先生



まつゆき「……おとな。まじ軽蔑する」

ふじ田「Σわお。闇まつゆきくん」

まつゆき「つかふじ田、いいかげん放せ」

ふじ田「だめー。おとなしくしないと、くすぐっちゃうぞー」


まつゆき「Σふ ぇえ……!!!!」


▼ もうくすぐってた、藤田


しのぶ「あ……!」

こども一同「?」


鷹史「ああ……!」

おとな一同「?」



▼ 発見!


離れた場所から見つめ合う “しのづか” ふたり



しのぶ「……」


鷹史「……」


しのぶ「……」


鷹史「……帰ろうっ!」


しのぶ「はいっ!」


▼ 立ち上がり鷹史の元へと駆けてく、忍


鷹史「キャッチ!」


▼ しっかりと抱きとめる、鷹史


しのぶ「たか史、来てたんだ……」

鷹史「もちろん。忍のためならどこへでも」


しのぶ「あぶなくなかった?」

鷹史「あ、……あぶなかった」


しのぶ「心配かけて、ごめんなさい」

鷹史「忍が無事なら、それでいいよ」


しのぶ「おなか空いた」

鷹史「うん。何でも作るよ……」


しのぶ「今日なにがあったか、話すよ」

鷹史「うん、帰り道で教えて」


しのぶ「そっちも、なにがあったか話して」

鷹史「うん、もちろ――」



~ここで頭をよぎる、数々のお色気担当🔞ハプニング集~



鷹史「Σた、たいした事、なかったかな~……ね~」


無表情で頷く鬼頭「ただただ山道歩いてただけな」

無表情で頷く厳蔵「そうそう、歩いてただけです」


鷹史「か、かがり町の野郎ども集合~! 帰るぞ~!」


一同「おお~!」


ふじ田「しのちゃん。帰っちゃうの?」

しのぶ「帰るよ、つかれたもん……(げそ)」

ふじ田「……本当に、帰っちゃうの?」

しのぶ「うん、本当に帰る」

ふじ田「……」

しのぶ「ふじ田?」

ふじ田「そうなんだー。しょんぼり」

しのぶ「あのさ、明日のたまごの日は……」


まつゆき「中止」


あおば「究極にまつゆきく――ん!」


ふじ田「Σしょっく」

しのぶ「ごめんふじ田。しばらくたまご、見たくないから」

闇の晴れたまつゆき「しの! よく言ったっ」

ふじ田「しょしょしょ しょっく……」


あおば「ふじ田くんあの! さそってくれて、たまごありがとう」


ふじ田「うん…… Σうん? あおばくんしゃべったー」

あおば「でも、あおば、あした、いけない……」

ふじ田「(きゅん)」

しのぶ「(きゅん)こんどみんなで、あそぼう」

あおば「! ……あの、――」


鷹史「お~い! 藤田……くん、ひとまず俺ら全員、町まで送ってもらえる?」


ふじ田「うん……」


まつゆき「ふじ田のせいで、全いんめいわく。せきにんとって」

ふじ田「たまごあげるよー」

まつゆき「いらない」

ふじ田「じゃあ、池のカエルを……」

まつゆき「いらない」

ふじ田「ふじたの野菜は!」

まつゆき「ほんといらない、きょうみない」

ふじ田「究極の がっかり」


▼ 藤田の好意はぜんぶ拒まれた。


鬼頭「松雪、あんまり苛めんなや。藤田なんだからしょうがねぇだろ」

まつゆき「かがり町のみんなは、ふじ田にあまい!」

鬼頭「Σ……!!」

厳蔵「Σさすが松雪家の子(小2にして町の真理を!)」


鷹史「ハイ撤収~撤収~★」


▼ ぼちぼち、帰路につく一同



こだま先生「……ふぅ」


▼ かがり町住民の濃ゆさにゲッソリしてる、こだま先生



鷹史「しのぶ、危ないから手ぇつなご★」

しのぶ「はい」

鷹史「はあああ♡ちっちゃい忍の手。またこうして握れる幸せ、タカシまだ死ねな――」


▼ ドテ (コケる鷹史)


鬼頭「Σ鷹史――っ!!」

森屋「あの先生、そこ池のような水溜りが……」


▼ ドボン (小さいが意外と深い水溜りにハマる鬼頭)


厳蔵「Σ大丈夫ですか、いま助けに――」


▼ コツン (わき見により、ふじたの森の道しるべに激突する厳蔵)



 しのぶ「あ」

  鷹史「あ」

  鬼頭「あ」

  厳蔵「あ」

  森屋「あ」

まつゆき「あ」

 あおば「あ」

 こだま「あ」



“ここより先、ふじたの森” (森の道しるべ)



しのぶ「あれ……いつの間にか」

鷹史「“森” の入り口じゃねぇか」

鬼頭「うおっ雨だ! いつの間に降り始めたコレ?」

厳蔵「雨? そんな事よりも腹減りません?」

森屋「先生、夜空は晴れてます。星も見えます……なぜだ;」

こだま「おやおや。お山の天気は変わりやすいのですね」


▼ サアアアアアアアア (ふしぎな雨)


まつゆき「ふじ田、消えた」

あおば「ふじたくん!」

しのぶ「あ。ふじ田なら……またふらっと遊びにくると思う」


▼ 消えた藤田


鷹史「ひとまず帰ろうか、ぐっすり眠って明日は“たまごの日”だっけ?」

しのぶ「たまご…」

鷹史「うちでやろっか “たまごの日” っての。またこの “森” まで来るの大変っしょ?」

しのぶ「ほんと?」

鷹史「それで発起人の藤田は~……まあ、呼ばなくても来るだろ」


▼ ふじたに頷く、一同


鷹史「たまご病事件解決の、“労いパーティ” という事で! 明日はみんな飯食いに来いよ! ――来るな?(鬼頭) 来るな?(厳蔵) こどもたちもおいで!(森屋含み) あとたまごの先生も!」


鬼頭「勿論」

厳蔵「勿論です」

森屋「お言葉に甘えて;」

こだま「!(……ここでまさかの家庭訪問)」

まつゆき「やった! しのの家だ」

あおば「……」

しのぶ「じゃあまた明日。しんくん、あおばくんも……」

まつゆき「しの、おやすみ!」

鬼頭「送ってくぜ、松雪深。じゃあなお前ら……おっと、ゴリラは森へ還れよ」


しのぶ「あおばくんもね、また明日」

あおば「……あ、」

こだま「では万賀くんは先生が送っていきましょう」

あおば「……あの、」

しのぶ「なに、あおばくん?」

あおば「うん、またね。


    ―― “さよなら、しのぶくん ”」


しのぶ「さよなら」






 突然の雨は……、

 やさしくしずかに一晩降り続き、翌日はさっぱりと晴れました。

 ふしぎな雨とは、ふじた山の山頂の忘却の泉が、高く、高く噴水のように湧き立ったものです。この雨模様にいち早く気づいた藤田は、すこし離れた場所から、かがり町の皆をさみしそうに見つめていました。




 おまけのたまご祭りへ★続く

 

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