第12話 東京へ



静岡から電車を乗り継いで東京へ向かった。



東京についてすぐに新宿に向かったが、ツレの友達は歌舞伎町には、昔、飛んだ店があるからあんまり近寄りたくないと言って、結局、その場で別れた。



それから、すぐに仕事を探し始めた。


夜の仕事を始めるつもりだったので、前のようにキャッチの人に声をかけて紹介してもらう手を考えいた。


道を歩きながらふっと上を見えあげると無駄にどでかいくキラキラ光る漫画喫茶の看板を見つけた。


キラキラに引き寄せられるかのように、ただなんとなくここで調べてから面接しにいくことした。


慣れないpcを操作して、歌舞伎町の夜のアルバイトを探していると、BARの店員を募集に目が止まる。


今まで、キャバクラやおっパブなどをしてきたが、違う仕事もしてみたいと思い、全く経験のないBARに面接に行くことにした。


BARの仕事については、テレビとかでよく見るカウンター越しにシャカシャカするイメージしかなかった。


自分がシェイカーをシャカシャカしているイメージを膨らませながら面接に向かった。



店舗に着くと何人か面接者がいた。


BARはやっぱり人気があるんだなと考えながら、経験がないから落とされる可能性もあると考え、気を引き締めた。


面接では、とにかくやる気があり、寮希望で、キャバクラでの経験などの話した。


お酒は飲める?軽く接客があるなどの説明は受けたが全てできます!やります!と即答で答えた。


それからすぐに採用の連絡がきて働くことになった。


店舗はかなり小さく、BARカウンターに五人、テーブル席が4席ほどの小さな店で、スタッフも全員で4人ほどだった。


店はオープンして日が立ってないらしく、その4人に自分と新人が入っていた。


その新人とはこれから頑張ろうと話した。



BARの仕事だからお酒を作ることがメインになるだろうと考えていたが、オープンしてすぐにいきなりキャッチに出された。


BARでもこのご時世、キャッチをしないと客が入らないのだろうとその時は軽く考えていた。


女性相手にキャッチは初めてで、どんな感じで話しかければいいかわからなかった。


すると、店長の下の主任のヒロさんが付いて来いと言って手本を見せてくれた。


「BARをやっているんですが、どうよ?」


女の子はあっさりスルーした。


歌舞伎町はキャッチ慣れしてる女の子が多いからこれではダメだとその時、直感的にわかった。


こんな感じで声をかけていけ!と言われたが、お手本になんてないなと心の中で思った。


それから1時間ほどキャッチはしたが、成果はなかった。


ただ、なんとなくわかってきた。


男のキャッチもそうだが、女のキャッチも成功への共通点が必ずあるだろうと考えた。


それは、普通に話しかけても話を聞いてくれないということ。


普通じゃない何か他と違うやり方をしないといつまでたっても成功しないと考えた自分は最初の掴みの言葉を変えることにした。


「今日は天気がいいですね!夜だけど!」


「お疲れ様です!姉さん!今日はこれからどちらに行かれますか?」


「その服いいセンスしてますね!どこで買ったんですか?」


など、とにかくBARどうですか?という言葉を自分の中で禁句にした。



すると、何回か声をかけると二人組が反応した。


少し、話をしてBARやってるんだけど1時間1000円飲み放題だから来ませんか?と最後の最後に行ってみると安いからいく!ということで、初めてキャッチに成功した。


キャッチに成功して、そのままお店にいくと、店長のシンジさんがカウンターに案内した。


シンジ店長「お客さんにおしぼりを出して」


初めての来店に何をするのかよくわからず、とにかく言われるがままにおしぼりを出し、カウンター越しに接客が始まった。


だが、接客といっても話してるだけ、三人は楽しそうに話しているが自分はその時はほとんど話さなかった。


キャバクラなどの接客などは見たことがあるが自分がいざ始めると何をどうしていいかわからない。


会話をしながらお酒を作り、灰皿交換にテーブルを綺麗にしたり、お客さんのタバコに火をつけるなど、接客の基礎中の基礎を無意識にできるようにならないと話にならないと隣で接客をしているシンジ店長を見ながら感じた。



すると、30分ぐらいしてシンジ店長からまた外にキャッチにいってこいという指示が出た。


店に客1組では寂しすぎるということだろうと理解し、自分はすぐに外に出た。



接客する側がこれほど難しいとは思わなかった。


見たり聞いたりしていても実際やってみる方がはるかに難しいことがよくわかった。


接客は中々難しいものだなと考えながらキャッチ場所に戻った。



キャッチ場所に戻ってすぐ同期の新人タツヤが話しかけてきた。


この働いている店の種類は普通のBARではなく、サパークラブと言われるものらしいとタツヤに聞いた。



タツヤは、自分が面接に行く前のBARのイメージで仕事をすると思っていた為、この仕事は少し違うと話した。



そんな話をしていると店に戻れという指示が出たので2人で戻った。


店に戻ると4組ほど客がいたが、この客たちがとにかく問題だらけだった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る