ダークサイドへようこそ

湖城マコト

始動編

第0話 これから起きるであろう、二人の出会いについて

 その出会いは、少なくとも一方にとって、あまりに衝撃的なものであった。


 想像してみてほしい。


 昼休みの高校。

 その日は、今は亡き、お世話になった大切な先輩の命日。

 故人を偲ぶべく、彼女の転落死の現場を訪れてみると、まるで当時の再現のように、一人の少女がアスファルトの上に横たわっている。


 一見すると少女に外傷は見られないが、一度人が死んでいる場所だけに、最悪の事態が頭を過ることだろう。


「……そんなに焦らなくても大丈夫ですよ。私は健康そのものです」


 結果的にそれは取り越し苦労で、少女はすぐさま上体を起こし、健在ぶりをアピールするわけだが、状況に出くわした彼が、寿命が縮まる思いをしたことは間違いない。


 しかし、彼が本当の意味で驚くのは、少女と二年前に自殺した先輩との関係性を知った時だった。


「私、御影みかげ繭加まゆかは……たちばな芽衣めいの従妹です」

「何だって……」


 それは、彼――藍沢あいざわ俊平しゅんぺいにとって、あまりにも衝撃的な出会いであった。

 

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