15.スネークヘッド飼育の要は「蓋」!

 ブルームーンギャラクシースネークヘッド(※注1)は美種である。それは間違いない。しかしその一方で、スネークヘッドの中でも特にデリケートな魚であることも間違いない。


 というのも、高水温に弱いのだ。


 大抵のスネークヘッドは適正水温が25℃~30℃といったところなのだが、ブルームーンギャラクシーの場合は概ね18℃~26℃の範囲。最もコンディションが安定するのは22℃程度と言われている。


 正直この時点でかなりキツい。当時のわたしの生活圏といえば東京とか埼玉だったのだ。夏場の気温は40℃に迫ろうかという勢いで、そんな環境に置かれている水槽内の水温は当然高くなる。ファンで冷やしても30℃をようやく下回るかどうか……といった具合であることは、前年の夏を乗り切ったウーパールーパー水槽が教えてくれていた。


 さらに厄介な点は、スネークヘッドはジャンプするということだ。野生下では水面近くを飛ぶ虫などを狙っているのだろう、とんでもない精度とパワーで水槽を飛び出していく。ガラス蓋の切り欠きは言うに及ばず、上部フィルターの排水口から滝を登るようにして脱出した例まであるというから恐ろしい。


 つまり、ブルームーンギャラクシースネークヘッドを飼育しようと思ったら……


「ファンの風を水面に当てる」


「生体の飛び出しを防ぐ」


 水槽用のクーラーを購入するのでもない限り、飼い主はこの両方を同時にやらなければならないわけだ。


 以前も述べたとおり当時のわたしの水槽は上部フィルターを使用していたためクーラーは使えない。かといってファンを装着するためにガラス蓋を外してしまうと、スネークヘッドの投身自殺を防止することができない……。


 いろいろ考えた結果、わたしは100円ショップに走っていた。


 買ってきたのはワイヤーネットと洗濯ネット。


 要するに、蓋は「風を通す」もので、かつ「スネークヘッドを通さない」ものであればいいわけだ。ワイヤーネットを60cmレギュラー水槽のサイズに合わせて接合およびカットし、その上から洗濯ネット(※注2)を貼り付ければ、条件をクリアした蓋が完成する。蓋の奥側半分は上部フィルターが、手前側では照明器具がそれぞれ重しになっているから、力任せに蓋をブッ飛ばされることもあるまい。


 この蓋は実際、わたしがDIYした水槽用品の中でもかなり使える一品となった。安心してファンを設置できるか否かは、スネークヘッドのような飛び出しリスクのある生体を飼う際においてはきわめて重要だ。


 ……まあ、結果論を言えば飛び出しに関しては心配なかったのだけど。どうやらわたしが買ったのは大人しい個体だったようで、ジャンプどころか混泳魚を襲うことすら滅多になかったから……。



     ◇ ◇ ◇



 ※注1:メガラヤレオパード、チャンナ・パルダリスなどの名前で売られていることもある。後者は2016年に学術記載された正式な学名。


 ※注2:洗濯ネットは蓋を自作するときだけでなく、フィルター内に仕込んで濾材を入れる用途にも使える。アクアリウムにおいてはなにかと便利なアイテムなので持っておくことをオススメする。

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