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 こんにちは。

 他人の手記に勝手に書き込む無礼をお赦しください。


 月面連絡船の発着場は全部で五つ。あなたがどの発着場にいるのか、聞くのをすっかり忘れていました。とりあえず降りて探し、誰もいないことを確認してから次の発着場へ……を三回繰り返して、ようやくここにたどり着きました。

 遅くなってしまってごめんなさい。やっと着きましたよ。お待たせしました、と言いたいところですが、あなたはもうどこかに行ってしまったようですね。

 構いません。何ヶ月、何年かかろうと、必ずあなたを見つけ出してみせます。

 一人じゃないと知ったときの気持ち。毎晩空を見上げていたときの気持ち。手紙を開封するときの気持ち。手紙に書ききれなかった何もかも、あなたに会って伝えたいから。


 この広い地球から一人の人間を見つけ出すなんて、奇跡でも起こらないと無理かもしれません。でもね。あなたに送ったペンダント、青いバラのデザインでしたよね。青いバラの花言葉を知っていますか?

 『奇跡』です。

 あなたが地球で一人だけ生き残って、わたしが月で一人だけ生き残って。

 あなたの手紙がわたしに届いて、わたしの手紙があなたに届いて。

 全部全部、奇跡のような出来事。ねえ、もう一回ぐらい奇跡が起きても不思議じゃないと思いません?


 長くなりましたね。

 そろそろあなたを探しに行きます。では、また。

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まだ見ぬあなたへ 紫水街(旧:水尾) @elbaite

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