Page 30 ~ 32

 わかっている。奇跡は何度も続かない。

 わかっていた。そのつもりだった。

 奪い去るのならどうして与えたのだろう。希望が大きければ反動も大きいとわかっていたのに。期待してしまった。奇跡がずっと続けばいいと思ってしまった。


 おれはここを離れる。ここにいると、思い出してしまうから。

 この手記も、手記の間に挟んだ手紙も、全部置いていく。ただ、あのペンダントだけは持っていこうと思う……我ながら女々しいけれど、これは証だ。イヴという女性が、確かに存在していたことの。


 外は晴れている。

 そろそろ出発しよう。行き先は決めていない。どこか遠くの……空が見えないところがいい。

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