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予想以上に早く訪れた、致命的な不具合だった。
免許も持っていないイヴが連絡船を操縦し、地球を目指している。なんと無謀なことだろう。おれは心配と不安で胸が張り裂けそうだった。
一日一日、祈るような気持ちで空を見上げて過ごした。
そして三日経った。
連絡船は一週間もあれば地球に着くはずだ。通信ポッドが月から地球まで四日かかる。ポッドを送ってからすぐ出発したのなら、もう到着してもおかしくはない。出迎えの用意をしなければならない。好きな食べ物が何か、聞いておくのを忘れていた。缶詰でいいだろうか。着る服はあるのだろうか。そうだ、寝床を整えなければ。おれは空を見て、床を掃き、空を見て、自分の髪を撫で付け、また空を見た。そうしているうちに昼になり、夕方になり、夜になった。
イヴは来なかった。
次の日も、その次の日になっても。
いつまで経っても。
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